中国で人気高まる有料自習室 背景には学習意欲の高まり

人民網日本語版 2019年12月20日13:23

個人用スペースとしていくつかに分割された長机が数列並べられ、各スペースにはコンセントやスタンドライトなどが完備され、その規模が大きい場合、休憩室や交流ルームなど異なる機能ゾーンも設置されている。これは最近、北京や上海、広州などの都市で相次いで登場している有料自習室という新しいサービスだ。北京には現在30店以上の有料自習室がある。人民日報が伝えた。

日に日に競争が激化する現代社会において、少しでも有利に就職活動を進めたり、自分の能力を高めたりするために、大学院に進学したり、さまざまな資格を取得したり、職業トレーニングを受けたりする人が増えている。そんな中、有料自習室は、勉強できる独立したスペースがないという人に勉強の場を提供している。業界関係者によると、2019年下半期から有料自習室は北京で急成長している。オフィスビルや大学が集まる地域などで、サラリーマンや学生などを主なターゲットにした有料自習室が次々にオープンしている。各種試験やテストが集中している下半期、特に重要な試験の1ヶ月前になると、自習室の利用者数は、オフシーズンよりも明らかに増加する。冬休みや夏休みも普段より利用者が多くなる。試験やテスト勉強に励んだり、純粋に自己啓発のために勉強に励んだりしている人たちの姿が、都市の中で独特な景観を生み出している。

有料自習室が人気になっているのは、多くの人がより目標と熱意を持って勉強に励むようになっているからだ。試験やテストシーズンになるたびに、各図書館は満員御礼となり、自習室でも席取りが原因のトラブルが時々発生する。これらは、公共の学習スペースが不足しており、供給が需要に追い付いていない構造的問題を浮き彫りにしている。こうして落ち着いて勉強できるスペースを必要としている人の需要を満たすべく、有料自習室が生まれた。この点から考えれば、市場化の手段を活用して都市の公共学習スペースを増やし、急速に高まる学習をめぐるニーズを満たすと同時に、都市や社会で学習意欲を高める雰囲気づくりをしている有料自習室の開設は、有益な試みと言えるだろう。

新しいビジネス形態である有料自習室は、発展の初期段階で、今後は、いかに人々の学習をめぐるニーズにさらに照準を絞るか、いかに業界の基準を整備するかが、発展を続けるために考慮すべき問題となるだろう。現在、有料自習室には、参入の敷居が低い、真似しやすい、サービスや利益確保のスタイルがあまりに単一的などの問題が存在し、資金を不正に集めたり、料金を前払いしてもらった後に姿を消したりする業者も出ており、監督管理が急務となっている。「有料自習室」の経営者も常識ある経営を強化したり、サービスを向上させたり、消費者が気持ちよく勉強できる環境づくりをしなければならない。また、有料自習室がターゲットとしている層は今のところ単一的で、今後は学習意欲を持ち、学習スペースを必要としているさらなる層の開拓が必要だ。例えば、一部のコミュニティの住民や高齢者、子供などは学習へのニーズが大いにある。ビジネスと公共文化スペース提供との間で、いかにバランスを取るかも、実践経験を積む中で探っていかなければならない課題となる。

中国は現在、学習型社会に突入しており、多くの都市で「読書・勉強」の人気が高まっている。公共文化サービスの「最後の1キロ」の問題を解決すべくコミュニティ図書館が設置されたり、24時間営業の書店が登場したり、有料自習室が頭角を現していることなどはいずれもそのような動向を反映している。日に日に学習スペースへのニーズが高まっており、さらに多くの層の需要を満たし、国民全体が学習に励むことのできるスペースを構築するためには、社会各界が手を携えて共に努力する必要がある。例えば、公共文化供給を強化したり、コミュニティに公共学習スペースを設置したり、条件が整っている企業・事業機関が図書館を開放するよう奨励したりするなど、各界が力を合わせて初めて、学習型社会の建設を長期的かつ安定的に推進することができる。(編集KN)

「人民網日本語版」2019年12月20日 

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