「蚊の歯も描く」蚊のスケッチ一筋30年の専門家が話題に

人民網日本語版 2020年05月11日15:34

「蚊の研究に人生を費やした」と語る雲南省寄生虫病予防・治療所の蚊の専門家・董学書さん(85)は、定年退職して20年以上になるものの、今でも第一線で蚊の研究を行っている。そんな董さんが30年間、毎日のように描いてきた蚊のスケッチが、中国のネット上で大きな話題となっている。そのスケッチを見ると、蚊の毛根まではっきりと描かれている。北京青年報が報じた。

董さんは1957年から、蚊の研究を始め、蚊のスケッチを頻繁に描くようになった。そして、80年代からは、蚊のスケッチを専門とする業務に就いてきた。「蚊の形態分類の研究をしている人なら、誰でも蚊のスケッチを描く必要がある。蚊の鑑定は、文字だけで描写することはできず、図による説明が必要。図ならその特徴を直接的に見ることができる」と説明する。

董さんは取材に対して、「蚊のスケッチは、芸術画ではなく、生物図だ。生物図は、実際の状況と違いがあってはならない。違いがあれば、それを見る人を誤解させてしまう。違いがないように、丁寧に細部まで描かなければならない」と説明した。蚊のスケッチのほか、董さんは、蚊媒介感染症の予防・治療に関する業務や人材育成にも携わってきた。

「鑑定のために蚊の歯も描き出す」

今回の取材では、董さんに蚊のスケッチの過程や難しい点、生物図などについて聞いた。

董さんによると、野外で標本を採集するために、普通の人が行かないような遠い場所へいかなければならないこともある。蚊がいるところであれば、どこへでも行く。そして、標本を採集し、戻ってから、標本を製作する。蚊のスケッチを書く前の標本製作は非常に重要な仕事だという。

蚊のスケッチにおいて難しい点について、董さんは、「蚊には、卵、蛹、幼虫、成虫があり、蚊の鑑定の過程で、それらの特徴を示さなければならない。そのため、スケッチの過程で、それを全て描き出さなければならない。なかでも難しく困難なのが、雄の蚊の尾器だ。その他、内部の構造も重要で、例えば、咽頭には歯がある。その大きさは赤血球ほどであるものの、描き出さなければならず、とても難しい」と話した。

蚊の幼虫から成虫までの様子を描く場合、その完成には約半月から20日を必要とする。蚊1匹あたり、大小の17‐18組のスケッチがある。例えば、卵だけでも、正面と側面がある。それに頭部、胸、腹などもスケッチする必要がある。

蚊のスケッチの意義に関して、董さんは、「蚊にはたくさんの種類がある。研究が行われているのは主に病気と関係のある蚊。外見だけでは見分けがつかない、よく似た蚊もたくさんおり、DNAで鑑定しなければならない場合もある。形態を見て、どの種類の蚊かを判断する場合は、幼虫から成虫までの過程の形態を見なければ、正確に判断することはできない」と説明した。

そして、「雲南省ではこれまでに、300種類以上の蚊が確認されている。マラリアやデング熱を媒介するのはどの蚊なのかを研究する必要がある。現在、中国ではマラリアはほぼ根絶されている。しかし、近年はデング熱の感染伝播を防止しなければならない。私はそれら感染症と関係のある蚊の研究に人生を費やしてきた」とした。(編集KN)

「人民網日本語版」2020年5月11日

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