日本の産業チェーン移転は悪いことばかりではない

人民網日本語版 2020年05月20日10:59

最近、「産業チェーンの改革」の話は、根拠がないわけではなく、一種の警告のようで、世界にこれから起こる変化を暗示している。

中国の労働力コストと材料価格の上昇、環境保護政策の強化及び米国の中国からの輸入商品に対する追加関税が製品の競争力に影響を与えていることなどさまざまな問題により、ここ数年、日本の産業チェーンが中国から移転するという論調がずっと続いている。

日本貿易振興機構(ジェトロ)が2019年12月に日系企業約5700社を対象に行った調査によると、産業チェーンの移転を検討する企業は10%で、電器製品や衣料品など川下の労働集約型企業に集中していた。

日本の英字新聞「ジャパンタイムズ」の5月5日付記事によると、日本の経済産業省の幹部が、「感染症の爆発的流行の前にも、日本企業のASEAN地域における生産拠点の建設ニーズはますます大きくなっていた」という。

12年にも、日本企業はすでに「中国+1」の投資戦略を描いていた。中国の他にもう1ヶ所、別の生産拠点をもつという戦略だ。この戦略の下、日本企業は東南アジア各国への投資を拡大した。

東京大学大学院経済学研究科の藤本隆宏教授は、香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」の取材に対し、「長期的にみて、日本政府の補助金計画にはある程度合理性がある。日本政府は日本の製造業企業が日本、中国、ASEANの間でよりよい生産バランスを実現することを奨励するからだ。日本政府の現在の補助金計画は日本とASEAN諸国とのよりよい関係構築を支援することにもなる」との見方を示した。

しかし藤本氏は、「産業チェーンの多様化と現地化が最終的に企業のコスト面の優位性を損なう可能性があれば、推進するべきではない。重要なことは企業の生産システムが競争力を備えながら、災難にも対応できるようにすることだ」との見方も示した。

上海対外経貿大学日本経済研究センターの陳子雷センター長は、「すでに感染症の前に、国際ビジネス環境には反グローバリゼーションの流れがきており、保護主義の出現が経済グローバル化プロセスに一定の影響を与えた。感染症は一部の国が愚かにも自国企業の呼び戻しを強行し、新型肺炎の影響によって生じた社会の矛盾を解決するための口実になっただけだ」と述べた。

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