中国人民銀行(中央銀行)が発表した上半期金融データによると、6月末には、M2のマネーストック(現金通貨と預金通貨に、普通預金、定期預金の両方を含む貯蓄預金を加えたもの)が213兆4900億元(1元は約15.3円)に上り、前年同期比11.1%増加し、増加率は5月末比横ばいとなり、前年同期比では2.6ポイント上昇した。M1のマネーストック(現金通貨と預金通貨)は60兆4300億元で同6.5%増加し、増加率は前月末を0.3ポイント下回り、前年同期を2.1ポイント上回った。
また上半期には人民元建て貸出が12兆900億元増加し、外貨建て貸出は774億ドル(1ドルは約106.9円)増加した。同期の人民元建て預金は14兆5500億元増加し、外貨建て預金は206億ドル増加した。6月末の社会融資規模(実体経済へ供給される資金量)は271兆8千億元に上り、同12.8%増加した。
この金融の「成績表」は何を意味するか。どのようなシグナルを発しているか。
東方金誠国際信用評估有限公司の王青マクロアナリストは、「6月のM2増加率は3年ぶりの高水準を維持し、このような状態を推進した主な要因は財政の反循環的調節の強化、財政預金の急速な減少だ。また個人預金が大幅に増加したこともM2の増加率を推進する一定の役割を担った。6月の企業の預金が前年同期より減少したことは、金融の実体経済に資金が回らない中での収益が最近抑制されるようになったことと関係があるかもしれない」と述べた。
6月のM1は小幅に減少したが、ここ2年近くにわたる高水準を維持し、ここから経済回復プロセスの持続的推進にともなって、各種のマーケットエンティティの経済活動が活発化し、企業の普通預金が急速に増加を続け、不動産市場が回復してM1の増加率を直接推進する役割を果たしたことがわかる。
中国民生銀行の温彬首席研究員は、「一方で、6月には人民元建て貸出の増加分が前月より3300億元多かったものの、前年同期に貸出が高水準で増加したため、前年同期比1500億元の増加にとどまり、貸出の派生能力はほぼ同じくらいだった。また一方で、6月には財政預金が6102億元減少したが、前月に大幅に増加したため、前年同期比1082億元の減少にとどまり、財政預金の運用ペースは予想を下回って資金供給のペースを鈍化させた。しかし全体としてみると、6月のM2増加率は3ヶ月連続で11.1%という最近の高水準を維持し、増加率が昨年を上回るようにとの要求に明らかに応えた」と述べた。
人民銀行によると、上半期の人民元建て貸出は12兆900億元増加し、同2兆4200億元増加した。
王氏の説明によると、6月の貸出の増加は予想をやや上回り、前年同期より増加した分は主に中長期貸し出しの寄与によるものであり、中長期貸し出しが目に見えて増加し貸出の構造が徐々に改善し、実体経済を支える力が上昇を続けたという。
注目されるのは、個人金融部門の新規短期貸出と新規中長期貸出が前月比でも前年同期比でも増加したことで、ここから経済が徐々に回復して短期消費ローンと住宅ローンのニーズを増大させたことがわかる。また6月の不動産市場と個人消費は回復を続け、個人の貸出ニーズも目に見えて回復した。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年7月14日