トランプ大統領が政権を握って以来、中国の科学技術に対する圧力はエスカレートし続け、その範囲も広がり続けている。それは米国経済の競争優位性を保ち、中国の科学技術の台頭を抑制するためだ。
TikTokの影響力が日増しに高まり、米国で1千万規模の若いユーザーを抱えるようになるにつれて、米国は文化や政治面での自信が大きく揺らぎ、TikTokに圧力をかけることで米国の政治とイデオロギーの安全を守ることが必要になった。また、米国では新型コロナ感染症が引き続き蔓延しており、経済では第二次世界大戦以降最も深刻な景気後退がみられ、社会騒乱が絶えず激化し、選挙政治が大きく破綻し、トランプ大統領の選挙情勢は全面的にバイデン候補に後れを取っており、現在の米国政府は国内の対立の焦点をずらし、国内のポピュリズム的共通認識を形作り、政治的に不利な局面を変える必要に迫られている。つまりTikTok叩きは、トランプ政権にとって手中の札にすぎない。
米国は使い古した手口を再び持ち出し、「データを中国政府の手に渡さない」や、「米国の国家安全保障と外交利益を確保する」ことを理由として、実際には科学技術保護主義を取っている。その裏側にあるのは中国抑制という戦略的思惑だ。中米経済貿易や科学技術、外交、サイバーセキュリティ、人文などの分野での競争がますます顕著になる背景の下、米国がTikTokに対する略奪のような行為を強行しようとするのは、中国を全面的に抑制し、「新冷戦」をしかけるための手段の一つにすぎない。
現在、米国のTikTok叩きはすでに単なる科学技術と経済の範疇を超え、ますます多方面に影響が及んでいる。
米国の科学技術業界叩きは自由市場の死を意味する。米国の科学技術が世界をリードし、絶対的優勢にあった頃には、「自由な経済と開放された市場」を口実にして、他国に門戸を開放することを要求し、最大限利益を得ようとした。それが中国の科学技術企業が発展を加速させ、米国に対する潜在的脅威になると、米国は「自由市場」の偽装をかなぐり捨てて、「国家安全保障」や「データのプライバシー保護」を声高に主張するようになり、だまし取るような方法で米国の科学技術の霸権を守ろうとしている。
米国の科学技術の霸権的行為や保護主義行為は、極めて良くない模範効果がある。割れた窓を放置しておくと他の窓も割られやすくなるという「割れ窓効果」のように他国が次々と模倣することになり、自由市場の死をもたらすかもしれない。(編集AK)
「人民網日本語版」2020年8月5日