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中国のショート動画共有アプリ「抖音」の海外版「Tik Tok」(ティックトック)は今、まだ命運が定まらない状態だ。「華西都市報」が伝えた。
米国のトランプ大統領は7月31日夜にティックトックの米国での使用を禁止すると発表した。また米マイクロソフト社(MS)がティックトックの米国事業の買収について交渉を進めると、「米国企業の全額出資によるティックトックの買収を受け入れたくない」との態度を示し、MSがティックトックを全面的に買収したとしても、ティックトックを禁止する大統領令に署名する可能性があると暗に示していた。
トランプ氏はなぜティックトックの禁止にこだわるのか。
ティックトックが急成長 米国でも飛ぶ鳥を落とす勢い
ショート動画は中国では2016年頃から盛んになった。中国での人気と同様、ティックトックは海外の多くの国や地域でも飛ぶ鳥を落とす勢いの人気アプリになった。米国市場に進出してから3年足らずで、ティックトックにとって米国は世界第2の市場に成長し、ビジネスとして非常に大きな成功を収めた。ロイター通信の報道によれば、ティックトックは現在、米国に約1億人のユーザーがいるとしている。
特に今年第1四半期(1-3月)には、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、米国でのティックトックのダウンロード件数と月間アクティブユーザー数が爆発的に増加した。同期のダウンロード件数は3億1500万件に達し、ティックトックが自ら樹立した記録を更新。その後の4月と5月には連続して非ゲームアプリのトップに立った。ユーザーの中心はいわゆる「90後(1990年代生まれ)」と「00後(2000年代生まれ)」だ。
米国SNS市場で長年頂点に君臨してきたフェイスブック(FB)は、ティックトックの米市場進出後、これまでになかったプレッシャーを感じるようになった。FBの収益モデルの中核は多数のプラットフォームでのデジタル広告収入だが、昨年からクライアントの一部が広告を引き上げ、若いユーザーの多いティックトックへの投資に切り替えていた。若くて活力に満ちたティックトックの勝ち取るパイがどんどん大きくなり、王者のFBですら羨望の念を禁じ得なかった。
FBとグーグルがティックトックの一連の機能を模倣しようとしていることから、テクノロジーの巨大企業にとってもティックトックが競争上の脅威になったことがうかがえる。今年6月には、グーグル傘下のYouTube(ユーチューブ)がティックトックのような15秒動画機能をテストし、7月には、FB傘下のインスタグラムがティックトックの機能を模倣したアプリ「Reels(リールズ)」を打ち出した。なお、これより先に打ち出した同様のアプリ「Lasso(ラッソ)」は失敗に終わっている。
米CNNは、「トランプ氏のティックトック禁止令により、独占騒動を繰り広げてきた大手テクノロジー企業がさらに大きな主導的地位を占めるようになるかもしれない」と分析している。ティックトックは短期間に米国で約1億人のユーザーを獲得し、その多くは広告会社やテクノロジー企業が喉から手が出るほどほしがる若いユーザーだ。ティックトックは、SNS界の新たなスターたちや爆発的に広がるスタンプを生み出し、大衆文化に大きな影響を与えている。
トランプ氏はなぜティックトックの禁止にこだわるのか?