おひとり様ブームの出現にともなって、おひとり様市場に照準を合わせる業者がますます増えている。短期間に「おひとり様経済」や「孤独経済」といった概念が次々登場し、おひとり様は今すぐに開発したいビジネスの宝庫に変わった。これによって、資本の加護の下、おひとり様が業者の力を入れるセールスポイントの1つに堕してしまうのか、おひとり様が提唱する自立した開放的な新しい生活スタイルという本来の意味が失われてしまうのかということを人々は考えざるを得なくなった。
おひとり様が一つのビジネスに変化する時、消費主義という「パッケージ」の下で、女性の自立という主張が従来型の性規範という旧態に戻らないよう十分に警戒しなければならない。誰の目にも明らかなことは、現在の「おひとり様経済」の消費をめぐる主張の中には、女性の「美しさ」に対する要求が相も変わらず混在していることだ。「おひとり様経済」の下、女性はこれまで以上に「自分を愛さなければならない」と教えられ、「自分を愛する」ことの重要な指標は「自分のためにはお金を惜しまない——自分に投資する」ことだ。このロジックを踏まえて、女性の「美しさ」の追求は強まることはあっても、弱まることはない。流れに乗って次々に登場するさまざまな売り文句の「女王」や「女神」向け製品を見ていると、目がくらむようだ。国金証券が発表した「おひとり様経済専門テーマ報告」でも、「自分を喜ばせるための消費」が「おひとり様経済」の4大消費分野の1つとなっており、調査データから、化粧品消費金額がシングル青年の平均可処分所得のうち5-10%を占め、女性がコア消費層であることがわかる。
「おひとり様経済」の提唱においては、経済力と消費力があることと女性の自立とが、単純に、いささか乱暴にイコールで結ばれている。「おひとり様経済」ブームの下では、女性の自立とは女性のすべてのニーズが大量消費によって満たされることを意味している。資本はその強大な力によって、おひとり様と暮らしの美学、暮らしのスタイル、暮らしの趣を結びつけ、おひとり様を「独身貴族」に仕立て上げ、おひとり様を美化すると同時に、果てしない消費の幻想を次から次へと作り出し、自己意識から生まれたおひとり様への願望を、資本の巨大ビルに到達するための渡り石に変えようとしている。資本が作り出した「独身貴族」の桃源郷の中で、シングル青年が理想的な「洗練された」暮らしをするために、支出が収入に追いつかなくなり、「隠れた貧困」に陥るというケースがままみられる。
おひとり様消費に湧き立つ中で、私たちはこのことを冷静に見据え、警戒する必要がある。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年8月7日