暗黒物質粒子探査衛星「悟空号」、耐用期間をさらに延長へ

人民網日本語版 2020年10月14日13:55

2015年12月20日に1件目のデジタル伝送データを受信してから今年の9月30日まで、暗黒物質粒子探査衛星「悟空号」は軌道上を1746日周回し、全天球のスキャンを9回行い、約86億9000万個の高エネルギー粒子を探査・処理した。科技日報が伝えた。

チーム責任者の一人である范一中研究員は、「悟空号の設計上の耐用期間は3年だが、探査機及び衛星プラットフォームのコンディションは現在良好だ。昨年1月に1回目、2年間の耐用期間延長を行った。悟空号の現在の優れたコンディションに基づけば、来年1月に再び耐用期間を延長できる見通しだ」と述べた。

中国は2015年12月17日午前8時12分に、酒泉衛星発射センターで「長征2号丁」キャリアロケットを使い、中国科学衛星シリーズの1基目となる「悟空」を打ち上げた。

「悟空」の任務は、宇宙の暗黒物質の探査だ。科学者は、宇宙の95%以上は暗黒物質と暗黒エネルギーで、そのうち暗黒物質が26.8%を占めると推測している。暗黒物質は発光せず、電磁波を出さず、電磁相互作用に加わらない。どのような光学・電磁波探査設備であっても直接「見る」ことができない。

世界には現在、3つの有名な暗黒物質探査機がある。「悟空」は世界でこれまで観測エネルギー範囲が最も広く、エネルギー分解能が最も優れた宇宙探査機だ。

「西遊記」の孫悟空から名付けられた「悟空」は如意棒を持たないが、300本以上の「水晶棒」を持っている。

「悟空」のBGOエネルギー装置には、縦横に交差する308本の結晶体が含まれる。どれも2.5センチ平方で、長さ60センチ。これは世界最長のBGO結晶体だ。こうした美しい「水晶棒」は入射粒子のエネルギーを直接測定し、宇宙粒子の痕跡を得ることができる。

「悟空」は毎日早朝と夕方に中国の上空を通過する。密雲、喀什、三亜にある3つのデータ受信ステーションは毎日、「悟空」からの約16GBのデータを受信している。「悟空」の科学研究チームは日々蓄積される大量のデータの中から、価値ある科学の成果を抽出する。

「悟空」の科学研究チームは現在、ヘリウム原子核宇宙線のエネルギースペクトル分析を展開している。紫金山天文台の袁強研究員は「ヘリウム原子核のエネルギースペクトルにも質量スペクトルに類似する屈曲構造があることが分かった。これは宇宙線の起源という世紀の謎への理解を深める重要なデータを提供した」と述べた。

このほか、「悟空」のチームはガンマ線データから暗黒物質の信号を探し、次世代暗黒物質粒子探査衛星「特大面積ガンマ線宇宙望遠鏡(VLAST)」のキーテクノロジーの研究に積極的に取り組んでいる。

范氏によると、「悟空」の設計上の耐用期間は3年で、現在すでにこれを2年近く上回り就役している。しかし依然として「若々しく元気」に見え、さらに耐用期間を延長できる見通しだ。(編集YF)

「人民網日本語版」2020年10月14日

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