貴州省の山奥に住む木工職人が「21世紀の魯班」と話題に

人民網日本語版 2021年08月12日10:16

貴州省の山奥の村に住む木工職人・安旭さんは、ショート動画共有アプリ「抖音(TikTok)」で大きな注目を集めており、わずか2年の間に約900万人のフォロワーを抱えるようになった。「95後(1995-99年生まれ)」の安さんは、自由で型にはまらない発想で、孫悟空の如意棒やハイヒール、無人月探査機・嫦娥5号の模型などを作り、「21世紀の魯班(木工の名匠)」や「男性版・李子柒(リー・ズーチー、山奥の農村から中国伝統文化の暮らしを紹介する映像を発信するビデオブロガー)」などと呼ばれている。新華網が報じた。

安旭さんが作った木製のサッカーボール(画像は安さんが提供)。

 「まともな職業に就かない息子」

安さんの動画の多くは、木造の小屋の中で撮影されており、彼の家族や親せきなども登場する。動画では木材加工の過程を紹介しており、シンプルな撮影方法であるものの、リアリティがあり、見る人を感動させる。

安さんの両親によれば、安さんが「まともな職業に就かない」予兆は早いうちからあったという。安さんは子供の頃から絵をかくのが好きで、家の壁や教科書などは安さんが書いた絵でいっぱいになっていた。「小学生の時、クラスの男子から体に龍の絵を描いてほしいとよく頼まれていた。1つの絵につき5角(1角は約1.7円)もらっていた」と安さん。

両親はずっと安さんが安定した仕事に就くことを願っていた。安さんは車の整備や洗車、ミルクティーショップの店員などの仕事をやってみたものの、どれも長続きしなかった。そんな中で唯一好きになった仕事が木材加工だった。

2019年初め、安さんはある親方の下で吊り天井や棚、ベッドなどの作り方を学んだ。そして、わずか約3ヶ月で、普通の人なら身につけるのに数年かかる技術をマスターしてしまった。こうして安さんは木材加工の道を歩むようになった。

安さんは木材加工にすっかり夢中になり、完璧を求めるあまり、夜も寝ずに加工に没頭することもあるという。ここ数年、安さんは試行錯誤して、スキルアップも続け、今では言われたものをなんでも木材で作ることができるようになっている。

伝統の木工技術を継承

「李子柒さんは僕の憧れ。なぜなら彼女は淡々と中華文化を発信し、そして受け継いでいるから」と安さんは言う。

昨年、安さんは墨斗を作り、抖音にアップした。しかし、墨斗を知らないネットユーザーも多かった。安さんによると、「木工というのは、古くから伝わる伝統的な仕事。春秋時代(紀元前771-紀元前5世紀)、大工の元祖と言われる魯班が墨斗を発明した」という。

昔、家屋を建てることは単なる体力仕事ではなく、土を掘って工事を始める時も、木を伐採する時も、棟上げの時も、儀式が必要だった。そのため、大工は単なる建築作業者ではなく、祭祀の参加者でもあった。伝統的な大工や木工職人には、細かな業界の取り決めや作業の規則がある。しかし、農村の大工や木工職人が減るにつれて、そうした文化も衰退しつつある。

安さんは、作品と伝統文化の要素を関連付け、さらに様々な木工手法や木工職人文化の要素を作品の中に盛り込もうとしている。安さんが今製作しているのは八重の塔である「文峰塔」の模型だ。文峰塔は100年の歴史を誇る貴州省鳳岡県のランドマークだ。

安さんの影響で、木工の技や文化に興味を持つようになった人が増えている。その技術を学びたいと安さんに連絡してきたネットユーザーもいるという。また、鳳岡県の中等職業学校は安さんを招き、木工の授業で生徒たちにその技術を教えてもらっているという。

安さんによると、ショート動画プラットフォームに動画を投稿するようになってからこれまでの2年の間に、広告収入や木工作品の販売などで、ざっと見積もって約40万元(1元は約17円)稼いだという。ただ、安さんは、「僕の作品を買いたいというネットユーザーが殺到するので、ライブ配信は苦手。複雑な作品だと1つ作るのに何日もかかるので、ネットユーザーの需要には全く追いつかない」と話す。そのため、妻の王双玉さんが昨年から工場との提携業務を始めた。現在では、安さんが設計したハクチョウのデスクライトとサッカーボールの形をした貯金箱はその工場で大量生産できるようになっている。(編集KN)

「人民網日本語版」2021年8月12日

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