トマトの葉をビュレットに入れ汁を絞り出し、適量の水で薄めてから試験紙の上にのせると、約10秒後に2本の暗い朱色の横筋が浮かび上がる。これはこの葉がトマト褐色しわ果実ウイルス(ToBRFV)に感染している印だ。科技日報が伝えた。
これは山東農業大学植物ウイルス学研究室で起きたことだ。このほど、同実験室を取材に訪れたところ、実験室の責任者で、植物ウイルス学専門家の李向東教授は、「これはうちの実験室で作ったばかりのToBRFV試験紙だ。その他の検査手段と比べると感度と特異性が高く、便利に使用でき操作もシンプルで、耕作地における大量のサンプリングに非常に適しており、ウイルスの正確なモニタリングと早期警戒に対して重要な役割を持つ」と語った。
現在のToBRFVの検査方法には、マルチプレックスPCR、定量的蛍光解析などがあるが、いずれも精密機器か専門的な操作者が必要だ。一方で、李氏の実験室が開発した金コロイド免疫試験紙は操作が簡単で、数秒または数分内に肉眼で観察し判断でき、耕作地での検査に非常に適している。
李氏によると、実験室はToBRFV粒子を免疫原とし、ハイブリドーマ技術により17株の抗ToBRFVのmAbを作り、2つのmAbをそれぞれ金コロイドパッドと硝酸繊維素フィルムに固定し組み合わせ、金コロイド試験紙を作り272組の組み合わせを得た。特異性測定を通じ、1組の抗体作成の試験紙を選択した。試験紙は1万2800倍に薄めたウイルスに感染したトマトの葉の汁(約8マイクログラムの葉が含まれる)からToBRFVを検出でき、スピーディで感度が高く、そしてその他の同属のタバコモザイクウイルスやアミノ酸との一致率が85%を上回り、同じくトマトに感染するトマト斑モザイクウイルスやトマトモザイクウイルスなどに対してまったく反応を示さない。
李氏は「同時に唐辛子を使い実験したが、結果は同じく理想的だった。この成果はすでに国家発明特許に出願しており、山東省、河北省、河南省、江蘇省、安徽省などの農業技術推進当局と企業によって試験的に用いられている」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年10月13日