ネット企業、次々と農産物の「チェーン化」に乗り出す

人民網日本語版 2021年08月12日14:40

甘粛省定西市は中国のジャガイモ主要産地で、毎年大量のジャガイモが上海向けに販売される。いまやこのジャガイモの一生がブロックチェーンと結びついている。

淘宝(タオバオ)、京東、拼多多などのECプラットフォームがデジタル農家支援戦略を打ち出すと、騰訊(テンセント)がこのほど新規参入者になった。その「テンセント安心プラットフォーム」は「1商品1コード」とブロックチェーン技術を通じ、農産物の全チェーンデジタル化管理を実現するとともに、全国10の地理的表示農産物ブランドを支援することを目的としている。そのありあわせのケースが定西ジャガイモだ。

定西ジャガイモは長期にわたり3つの弱点を抱えている。(1)現地の農家は紙とペンを持ち畑で栽培データを集めているが、これらのデータは統一的に管理されておらず、逆方向の生産指導も困難だ(2)現地には統一的なジャガイモ品質監督管理プラットフォームがなく、品質基準を満たさない一部商品の市場流入が避けがたくなっている(3)産業チェーンの各データの信憑性が低く、とりわけ加工、流通、販売における混乱が絶えない。

ブロックチェーン技術のデータ書き換えが不可能といった特徴により、農産物の全ライフサイクルをリアルタイムでチェーン化できるうえ、唯一無二のQRコードがある。消費者は微信(WeChat)コードスキャンなどの手段により、ジャガイモの施肥と水やりの時期、品質検査や包装を行った場所などほぼすべての情報を把握できる。

テンセントより先にブロックチェーン技術を使い農産物の川上に介入したネット企業には、他にもアントフィナンシャルや京東などがある。アントフィナンシャルのブロックチェーンはすでに安徽省の碭山梨、景徳鎮の磁器などの鑑定シーンで応用されている。うち安徽省碭山県良梨村は碭山酥梨の発祥地と中心的な生産地として、今や百度のオンライン百科事典では「中国ブロックチェーン第一村」と呼ばれている。京東は新型コロナ感染症によるコールドチェーン商品のトレーサビリティの需要を受け、現在中国国内の300社近くの業者に400万点超の生鮮商品サービスを提供している。

「農産物のチェーン化」がネット企業に注目されるのは、それが民生に関わり、市場規模が巨大だからだ。しかしそれと同時に「データの孤島」などの業界の難題が長期的に存在している。

例えば山東省聊城市莘県は「中国野菜第一県」と呼ばれ、中国全土に販売されており、主に上海などの一線都市に供給している。同県農村農業局の孫洪録副局長は、「産業チェーンの前端で、莘県拠点の農家が多くのセンサー、ドローン、人工知能(AI)技術を導入し、農作物の最良の成長を保証している。中間では、政府当局が大量の検査設備を調達し、野菜の品質管理に用いている。だがこれほど多くのコストを費やしても、末端の消費者は我々の商品に疑問を突きつけ続けている。これは我々が苦労して作った地域農産物ブランドに、サプライチェーンのデータ断裂という弱点があり、チェーン上の各方面のデジタル化施設がつながっておらず、連なっていないからだ。これは陽澄湖カニ、五常大米、西湖龍井、贛南ネーブルなど地域のシンボリックな農産物に共通する悩みだ」と話した。

ブロックチェーン技術による全過程の痕跡や集団保護により、各農産物の問題が自ずと解決される見通しだが、ブロックチェーンの介入は各段階のコストアップにつながるのではないだろうか。業界内の関係者は、これについては総合的に計算すべきとしている。誠実な農家と加工場の場合、ブロックチェーン技術を使えばその本来の姿を証明でき、商品の価格を引き上げる自信がつく。消費者の場合、ブロックチェーンによる農産物の「行程コード」があれば、本物を見分けるコストを下げられる。政府側は大量の商品の中から問題ある商品を特定し、商品の社会流通後の損害を減らし、市場監督管理の価値をさらに上げることができる。(編集YF)

「人民網日本語版」2021年8月12日

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