合宿の教官の仕事のほか、張さんは日常的にクライアントの護衛のミッションも担当している。例えば張さんは、北京商務中心区(CBD)にある5ツ星ホテルで、クライアントが食事をする環境のセキュリティチェックを行い、盗聴器や盗撮機器がないかを調べるといった仕事も行っている。
緊張の糸を切らすことのできない仕事が終わると、張さんは寮に戻り、快手などのライブ配信プラットホームで、キックボクシングや護身術を教えている。張さんはライブ配信を通して、一人でも多くの人に、女性ボディーガードという職業や護身術を知ってもらうと同時に、多くの女性に正確な護身スキルを習得してもらいたいと思っている。
「ボディーガード」という職業は人々に広く知られており、中国の古代における「鏢局」もボディーガードにあたる。「鏢局」という職業は、北魏(386-534年)の時代にまで遡ることができ、旅をする行商人や役人の護衛を請け負い、身辺の安全を守るボディーガードとして活躍した。その後、宋、元、明などの時代の発展を経て、清の時代に最盛期を迎えた。
新中国が1949年に成立すると、中国ではボディーガードという業界が一時、姿を消した。1989年に中国公安部(省)が、「企業の役員のための警察装備の配備やボディーガード式サービス提供の禁止に関する通知」を発表し、個人がボディーガードを雇うことを明確に禁じたためだ。その後、2010年1月1日になって、中国保安(警備)サービス業第一部行政法規「警備サービス管理条例」が正式に実施された。同条例は、警備サービス会社は、護衛サービスを提供することができるとし、個人向けのボディーガードサービスの提供がついに合法化された。
資料によると、2017年末の時点で、中国全土には警備会社が8246社あり、警備員の数は482万7300人、警備会社の売上高は924億3700万元(1元は約17.90円)に達した。また、北京市の警備会社は2020年に600社以上、警備員の数は50万人以上に達している。(編集KN)
「人民網日本語版」2021年11月19日