中国では現在、バレンタインデーや2人の記念日などにプレゼントを贈り合って自分の気持ちを伝えるというのが、多くのカップルにとって重要なイベントになっている。そして相手が満足してくれるプレゼントを贈るために、プレゼントを指南する記事などを読み、価格やレビューをチェックし、作戦を練るというのも、多くの若者にとってイベント前に欠かせない「任務」となっている。では恋愛中の若者たちはプレゼントをめぐるどんな悩みを抱えているのだろうか?中国青年報が報じた。
イベント時のプレゼントが恋愛中の若者の負担に
プレゼントの価値というものは、値段という数字で見えるものだけでなく、送り主からの気持ちや敬意といった思いで測るものだと考える人が多い。そして社会学者や人類学者は、プレゼントというものは、相手と関係を築き、絆を結ぶ重要な方法だとしている。
中国のリサーチ企業・艾媒咨詢(iiMedia Research)の統計によると、2018年から2020年にかけて、中国のプレゼント経済産業市場の規模は8000億元(1元は約19.5円)から1兆913億元まで拡大し、年々勢いを増している。そして2022年には1兆2262億元に達した。プレゼント経済が絶好調となっていることは、人々が「絆」を重視していることを反映しているほか、メーカーがうまくマーケティングを展開して、若者たちの心を掴んでいることも示している。
ある人が数えたところによると、誕生日や記念日といった恋人同士がプレゼントを交換する恒例イベントのほか、七夕節(旧暦の七夕)や新年など、1年を通して10回以上のイベントがあるという。そのため多くの若者は、あれこれとプレゼントのアイデアをひねり出したとしても、いつかはネタが尽きる時が来てしまうのではないかとプレッシャーを感じている。
中国青年報社社会調査センターの青年1519人を対象にした調査によると、特別な日に恋人にプレゼントを贈らなかったとしたら、という質問に対し、回答者の6割以上が「プレッシャーを感じる」と答えた。また別の調査では、回答者の約4割が「プレゼントを買うと経済的な負担になる」と答えた。このように多くの若者にとって、相手を満足させた上で、自分にとっても経済的負担とならないプレゼントを選ぶのは至難の業であることがわかる。
男性が女性よりもプレゼントに悩む理由は?
中国青年報社社会調査センターの調査によると、プレゼントを贈ることについて、回答した青年の69.9%が「悩む」と答えたが、回答の男女比においては、女性より男性のほうが多かった。
では、若者はどんなことで悩んでいるのだろうか?調査では、「相手に気に入ってもらえるか」(67.6%)、「自分の気持ちが伝わるか」(50.6%)、「恥ずかしくなく体裁を保てるか」(47.2%)がトップ3だった。気持ちを伝えるだけでなく、体裁も保つ必要があるというのが、多くの若者の主な悩みの種になっているのだ。
こうした悩みは、男女共に感じているものの、その内容は男女で異なっている。相対的に見ると、女性のほうがプレゼントを相手に気に入ってもらえるかを気にし、男性のほうは体裁を保てるかを気にしていた。
四川省社会科学院の周祉豪氏も、プレゼントをめぐる男女の差について注目している。成都市の高等教育機関5校の恋愛中の学生182人を対象にした調査によると、プレゼントにかける金額は、女性より男性のほうが多かった。プレゼントにかける金額の差は、男女の恋愛における地位の影響を受けるようだ。男性は、プレゼントを通して、恋愛関係における発言権を得ることを望むのに対して、女性は恋愛は感情を表現する関係であるとみなしていた。このように、男女によって、プレゼントに込められた意味が異なるため、プレゼントに期待することも異なってくるのだ。
では相手が満足するプレゼントをどのように選べば良いのだろうか?中国社会科学院大学の項江南博士が、恋愛中の青年13人を対象に取材したところ、男性はプレゼントに比較的満足していたのに対して、女性は満足していないことが分かったという。その理由は、女性はプレゼントを贈る時、相手に対する思いも表現していたのに対して、男性はプレゼントを「義務」と見なしていたからだ。そのため、相手がプレゼントを気に入ってくれるかは、表現した思いが相手に伝わるかどうかにかかっていると言えるだろう。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年2月17日