两会

広大な中国をトラックで駆け回る女性ドライバー・謝琳さん

人民網日本語版 2023年03月15日10:47

果てしない砂漠の中を走る道を一人でトラックを運転して走るというのはどんな気分だろうか?トラックの運転手をして32年というベテランの謝琳さん(54)は長年、新疆維吾爾(ウイグル)自治区内をトラックで駆け回てきた。運ぶ荷物や走る道は変わっても、トラックの「キャブ」が常に彼女の「家」だった。中央テレビニュースが報じた。

家族の影響でトラックの運転手になったという謝さん。その32年の走行距離はなんと500万キロ以上に達している。

謝さんは2003年に初めて新疆維吾爾自治区に荷物を運んだ時に、そこに「惚れ込んでしまった」といい、「ハンドルを握りながら、砂漠を一望し、周りに誰もいない時に音楽を聞くととても気分がいい。大地の懐にいるような気分」と話す。ここ20年、謝さんにとって、広大な中国の端から端まで駆け回るというのが、「日常」となってきた。

恩返しのために武漢に28回にわたり緊急物資を輸送

先ごろ、謝さんは荷物を輸送している際、安徽省淮北市人民代表大会常務委員会弁公室からの電話を受け、「同省第14期人民代表大会代表に選出されたため、数日後に合肥市で開かれる会議に参加するように」と伝えられた。

「私はただのトラック運転手。なぜ選ばれたのだろうか?」と不思議に思った謝さんだったが、「たぶんこの3年間の出来事と関係あるのだ」考えた。

2020年1月から4月にかけて、謝さんは一人でトラックを運転して、湖北省武漢市に28回にわたり緊急物資を届けた。そして、その後も上海市や新疆維吾爾自治区といった地域に医療物資を届けた。「これは運転手の責任であるだけでなく、恩返しでもある。2016年、武漢市の人が私の命を救ってくれたから」と謝さん。

2016年、トラックが故障してしまい5、6日ほど身動きが取れなくなってしまった謝さんは、水も食べる物もなくなってしまい、夜になるとオオカミの声まで聞こえてきたという。しかし幸運にも武漢市から来たバイクのグループに出会い、ライダーたち全員がコップ1杯ずつの水を彼女に分けてくれたのだという。その「恩人」たちをその後見つけることができなかった謝さんだったが、「一滴の水のような恩にも、湧き出る泉のような大きさでこれに報いるべし」という中国の諺に従い、新型コロナウイルス感染拡大に見舞われた武漢市を支援したのだという。

トラック仲間が少しでも幸せに過ごせることを願う謝さん

トラックの運転手として、安徽省第14期人民代表大会に出席するというのは、謝さんにとって、「とても重要な事で、絶対に欠席はしたくない。でも、荷物も予定通り届けなければならず、スケジュール通りトラックを運転していると、会議には間に合わない」という問題に直面した。

そんな時に、ちょうど新疆維吾爾自治区に向かっていた運転手仲間が助けの手を差し伸べてくれたという。謝さんと仲間は交代で5000キロの道のりを必死で走り、綿の布を荷主の元にきっちりと送り届けた。そして、謝さんは休む暇もなく会議に参加する準備を始めたという。

最終的に予定通り会議に参加できた謝さんは、高速道路のサービスエリアにシャワーや仮眠室のある施設を作ってほしいという意見を提出した。「長い距離を移動する運転手がゆっくり休むことができれば、次の日もより安心して、安全に運転できる」と謝さん。

女性トラック運転手の謝さんは、自分一人でトラックを運転して広大な中国を駆け回っている。大砂漠のかなたに、ひとすじの煙がまっすぐに立ちのぼっている景色を見たことも、江南エリアの杏の花の香を嗅いだこともある彼女は、自分と同じように1年中トラックの中で過ごし苦労しているドライバーが少しでも幸せに過ごすことができることを願い、山、海、人に対する思いを代表としての提案の中に盛り込んでいる。(編集KN)

「人民網日本語版」2023年3月15日

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