人によって人生設計や考え方は異なるもので、中国では最近、「卒業延期」を選択する大学生が増えている。中国青年報社・社会調査センターがこのほど、大学生2001人を対象に実施したある調査では、回答者の73.1%が「卒業延期を選んだ大学生が周りにいる」と答えた。「単位が足りない・学位論文が未完成」というのが、大学生が「卒業延期」を選ぶ一番の理由で、次に多かったのは「『新卒』をキープするため」だった。中国青年報が報じた。
回答した大学生のうち、学部の1・2年生が17.8%、3・4年生が67.7%、今年度の卒業生ではない修士課程、博士課程の大学院生が10.2%、今年度の卒業生である修士課程、博士課程の大学院生が4.3%だった。
大学生の13.6%が「就職がうまくいかなったら卒業延期選ぶ」
学生の就職指導を行っている武漢大学の補習指導員・楊輝さんは、「卒業延期を選ぶ学生には2つのパターンがある。1つは、学業に問題が生じて仕方なく卒業延期するパターンで、ほとんどが年度内の学籍異動や卒業論文不合格がその理由で、仕方なく卒業延期を選んでいる。もう一つは、就職活動のことを考えて『卒業延期』を申請し、『新卒生という立場をキープするため』という近年見られるようになった新しいパターンだ。学業に問題はないものの、論文の口頭試問を受けなかったり、卒業論文をわざと提出しなかったりといった学生が、どの大学にも存在しており、近年はそれが増えている」と説明する。
武漢大学の大学院修士課程に通う何文宝さんは学部の段階で1年休学したといい、「学部生の時は留学する準備をずっとしていた。しかし、新型コロナウイルスの影響で、交換プロジェクトに参加することができなくなってしまった。それで、少し待ちたいと思い、3年生から4年生になるタイミングで、休学を申請した。私にとっては卒業延期と同じ」と話す。
楊さんは、「教育主管当局の学位論文に対する抜取検査が一層厳格になっており、その質に対する要求がどんどん高まっている。また、就職が厳しい状況になっているというのも一面。就職環境の変化に対する認識が明らかに不足しているため、就職や職業選択の観念の変化についていくのが難しいという学生もいる。そのため、就職活動で挫折を経験したり、思っているようなオファーを得られなかったりすると、『卒業延期』を申請して、『新卒生』をキープし、もう1年就職活動をがんばりたいとなる」と説明する。
一方、「就職活動をしている時の『新卒生』という立場に対する理解は雇用機関によって異なる。関連の政策によると、厳密に言えば卒業証書と学位授与証明を取得した年が、卒業生の『卒業見込み年』となる。今は、『卒業生が卒業してから2年以内は就職活動期間で、その期間に就職先が見つかっていない卒業生は全て『新卒生』と見なすとしている地域もある。しかし、『見なす』としているだけで、卒業してから2年以内は『新卒生』と認定するかについては、雇用機関が自分たちで判断することができる点は注意が必要だ」と指摘する。
上海大学を2023年度に卒業する趙佳さんは、本来ならば2022年6月に卒業するはずだったが、一年の延長を申請した。「国の政策は、『新卒生』の身分を2年キープできるとしているものの、実際には、その年に卒業した新卒生だけが対象のポストもある」と話す。
就職がうまくいかなったら卒業延期を選ぶかという質問について、回答者の39.8%が「まず就職してから転職先を探す」、21.5%が「大学院試験/留学を選ぶ」、13.6%が「卒業延期を申請して、新卒生の身分をキープする」、16.1%が「起業・自主的な求職活動を選ぶ」、8.3%が「焦らずに、ゆっくりと自分に相応しい仕事を探す」と答えた。
調査では、一部の大学生が就職のプレッシャーを和らげるために「卒業延期」を選んでいることについて、回答者の49.5%が「それも問題解決の方法の一つ。チャンスが1度増えるのと同じで、トライアンドエラーのコストを削減できる」と答えたのに対して、39.3%が「問題を解決することはできず、時間稼ぎをしているだけ。遅かれ早かれ現実と向き合わなければならない」と答えた。一方、11.2%は「何とも言えない」と答えた。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年5月15日