中国の新婚夫婦の間で最近、新聞広告で「結婚報告」を掲載することが人気を集めている。その広告のほとんどが、「新郎○○と新婦△△が何月何日に結婚したことをここにお知らせします」といった内容で、字数も少なく、いたってシンプルだが、セレモニー感は満載だ。
新聞広告で「結婚報告」掲載がブームに
上海の章さんは、夫と共に婚姻届を提出しに行った日は日程が慌ただしかったため、お祝いをする時間がなかった。しかし、それから1ヶ月後のある日、夫から突然夕刊を渡された章さんは、新聞の広告欄に「結婚おめでとう:新郎○○と新婦△△は2023年5月18日に正式に夫婦となりましたので、記念としてここに掲載し、親族や友人にお知らせいたします!」と掲載されているのを目にした。
妻に「結婚報告」の新聞広告掲載をサプライズプレゼントする男性もいれば、微信(WeChat)のモーメンツで結婚報告をするよりも、新聞広告で「結婚報告」を掲載するほうがいいと考える夫婦もいる。微信に登録している「友だち」は多く、その関係もさまざまであるため、天津に住む女性の王さん(仮名)はモーメンツで結婚報告はしたくないものの、「公式発表」する「セレモニー感」は味わいたいと考えた。そこで夫と相談して、天津の地元紙に「結婚報告」の新聞広告を掲載することにしたという。
1ヶ月後、王さんの投稿には1万1000人が「いいね!」を押し、ネットユーザーからは、「100年は残る素敵な記念」や「公開といっても目立つことはなく、安価といっても安っぽくない素敵な記念」といった羨むコメントがたくさん寄せられているほか、たくさんのネットユーザーが、自分も掲載したいといったコメントを寄せている。
取材を進めていくと、新聞広告で「結婚報告」を掲載することが今、トレンドとなっていることが分かった。SNSでは、多くのネットユーザーが新聞広告に掲載した「結婚報告」の画像をアップしており、海外の新聞に掲載したネットユーザーもいた。その多くが90後(1990年代生まれ)や00後(2000年以降生まれ)といった若い夫婦だ。
民国時代にも流行した新聞広告で「結婚報告」
1930年の結婚報告
新聞広告で「結婚報告」を掲載することは、今の若者が発案したものではなく、実はもっと前の時代にも流行していた。
民国時代にはこうした新聞広告で「結婚報告」を掲載することが流行していた。当時、中国の「婚姻法」や「結婚登録制度」はまだ整備されておらず、結婚する夫婦は新聞に「結婚の公示」を掲載するというのが、習わしとして次第に定まって一般化していた。そうすることで、近くや遠くの親戚、友人に結婚の事実を知らせることができるほか、一定の法的効力もあり、婚姻証書の代わりにもなった。また、新聞は長期間保存しておくことができるため、記念品ともなる。当時、新聞広告で「結婚報告」を掲載していた夫婦や両家の親の多くは考え方が開明的で、経済的にも余裕があり、人脈も広かった人たちだ。
新聞広告で「結婚報告」というレトロなスタイルが、今の若者の心を掴み、再び人気を集めるようになったのはなぜなのだろう?多くのネットユーザーは、「今の『公式発表』や『結婚式』の多くは流れ作業のようでワンパターン化している。結婚をめぐる複雑な儀式と比べると、『結婚報告』の新聞広告掲載のほうが、新婚夫婦のリアルな気持ちを伝えることができる」といったコメントを寄せている。
また新聞広告への掲載は記念ともなり、それを親戚や友人にプレゼントすることもできれば、自分たちの「愛の証」としてずっと保管しておくこともできる。最近結婚したばかりのある女性が「お金の価値には限界があるが、絆はかけがえない」と話すように、数百元(1元は約19.3円)で、人生で最高の瞬間を記録することができるというのは、とても素敵なことだといえるだろう。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年7月20日