台湾の巨匠・李安監督が台湾・大陸部映画に苦言 (2)
■中国大陸部の監督は「ナルシスト」
キャスティングにも定評がある李監督だが、その秘訣に関しては「フィーリング」と強調。「中国の湯唯(タン・ウェイ)のような女優は、中国大陸部ではあまり受けない。でも、彼女は昔の国語の教師のような気質を備えており、あのような気質を備えている人は今いない。そのため、『ラスト、コーション』にぴったりだった。中国の女優、章子怡(チャン・ツィイー)は本当に美しい。どんな撮影の仕方、どんなライトの当て方をしても美しい。それに対して、湯唯を撮る時にはサポート技術が必要。でも、私にはその『フィーリング』がある」と語った。
一方、中国人の学生が「中国大陸部の映画に対する見方」を尋ねると、李監督は「中国大陸部の最大のメリットは、ハリウッドに匹敵する市場があること。最近、興行収入の記録を作る映画がたくさんある。これはいいこと」と指摘。そして過去を振り返り、「初めて中国大陸部でロケを行ったのは『グリーン・デスティニー』(原題: 臥虎蔵龍、2000年)の撮影の時。当時はいろいろな障害にぶつかり、たいへんだった。しかし、7年前に『ラスト、コーション』を撮影した時には、たいへんだと全く感じなかった。中国大陸部の映画産業は基本的に出来上がっている」と持ち上げたが、「率直に言うと、中国大陸部にはいい映画がまだない。つまり、これほど大きな市場で生まれているべき作品がまだないと正直感じる。また、人気を博する映画があるというだけで、観客の見る目も少しずつ養わなければならない。また、中国大陸部の監督については「少しナルシスト」とし、「映画を制作するというのは、自分にとって最も大切なものを表現したり、自分の持っているものを他人に無理に見せたりするものではない。自分をあまりに重要な位置に置くと、単なるエゴで、悪業になり、アートではなくなってしまう。それが私の価値観。アートというのはナチュラルなもので、ほかの人の共感を得られるもの。自画自賛してのぼせあがったりするものではない」と苦言を呈した。(編集KN)
「人民網日本語版」2013年5月14日