オリンピック精神の原点とはかけ離れた東京の五輪招致 (2)
「週刊!深読み『ニッポン』」第49回 周知のように、戦後の日本経済のテイクオフは3段階を経た。まず1954年から1961年の第1期は設備投資が経済発展を牽引した。1962年から1965年の第2期では経済モデルの転換に成功した。1965年から1973年の第3期には輸出が経済を牽引し、1968年には西ドイツを抜いて世界第2の経済大国となった。この座は2010年に中国に追い抜かれるまで42年間維持した。
高度経済成長の奇跡を伴った1964年の東京五輪は、多くの日本人にとって誇らしい輝ける過去だ。そして1940年の東京五輪が忘れ去られたことは、日本が第2次大戦前後の歴史をぼかすことを克明に示してもいる。
日本経済は1990年代初めのバブル崩壊以降再起不能となり、1955年から長期政権の座にあった自民党も1993年に下野した。日本は経済、政治両面で不安定な状況に陥った。これがいわゆる「失われた10年」、より正確に言えば失われた20年である。
1964年の東京五輪は多くの日本人の心の中で、戦後の高度経済成長を象徴する記念碑的な意義を持つ。そして長期的な経済低迷にある日本は庶民を再び奮い立たせる契機を必要としている。そこでオリンピックは一部政治屋によって手中の政治資源と見なされるようになった。
2020年夏季五輪以前に、日本はすでに2回夏季五輪を招致している。その結果は以下の通り。