オリンピック精神の原点とはかけ離れた東京の五輪招致 (3)
「週刊!深読み『ニッポン』」第49回 昨年末、自民党内の保守派を中心とする政治勢力が衆議院総選挙で勝利し、政治舞台の中心に返り咲いた。まさに自民党の選挙スローガン「日本を、取り戻す」のように、昔日の威風を取り戻すことが保守勢力共通の目標となったようだ。2020年夏季五輪の招致はこうした背景のもとで進められたのだ。日本の2020年五輪招致オフィシャルサイトでは特別に大きな文字がことのほか目を引く。「今、ニッポンにはこの夢の力が必要だ」というもので、続けて「オリンピック・パラリンピックは夢をくれる。夢は力をくれる。力は未来をつくる。私たちには今、この力が必要だ。ひとつになるために。強くなるために。ニッポンの強さを世界に伝えよう。それが世界の勇気になるはずだから」とある。
オリンピック憲章は「根本原則」で「オリンピック・ムーブメントの目的は、いかなる差別をも伴うことなく、友情、連帯、フェアプレーの精神をもって相互に理解しあうオリンピック精神に基づいて行なわれるスポーツを通して青少年を教育することにより、平和でよりよい世界をつくることに貢献することにある」と明確に表明している。
両者を比べてみると、大きくかけ離れているのは明らかだ。近代オリンピックの趣旨は「平和、友情、進歩」だ。ビジネスとリンクせず、政治利用されないオリンピックこそがオリンピックの精神と原則を真に体現することができる。
2008年北京五輪のスローガンは「One World, One Dream」、2012年ロンドン五輪のスローガンは「Inspire a generation」だった。両五輪の舞台が主催側が世界各国に提供し、世界各国が共同で創造し、最終的に全世界の認可を得られたものであることは明らかだ。
「オリンピックの夢」は全世界の夢、全人類共通の夢であるべきだ。(文:趙剛・中国社会科学院日本研究所日本問題専門家)(編集NA)
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「人民網日本語版」2013年8月5日