中国はアジア太平洋の戦略的均衡を実現しなければならない
米国の「アジア太平洋回帰」戦略のもう1つの言い方は「アジア太平洋の戦略的リバランス」の実現であり、言外の意味は現在アジア太平洋は戦略的に不均衡だということだ。それでは、アジア太平洋の戦略的構造と戦略的態勢は本当に不均衡なのだろうか?確かにそうだ。しかも普通の不均衡ではない。(文:任衛東・中国現代国際関係研究院研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
二大陣営が対峙する局面が終結してからすでに少なくとも20年余りが経過したが、米国の旧冷戦時代の軍事同盟は東アジアにおいて依然手つかずのまま存続している。米国は中国の玄関先である東アジアに大量の軍事基地を持ち、大量の武器・装備を配備し、大量の軍を駐留しているが、これらは米国本土とは太平洋を丸ごと隔てた距離にあるのだ。これはすでにバランスを失している。それなのに米国は「リバランス戦略」で、さらに世界的な配備の再調整を行い、大部分の軍事力をアジア太平洋にさらに集中しようとしている。これと同時に古い軍事同盟を強化し、東アジアの平和の政治的基礎を破壊し、中国と周辺国との領有権問題を激化させ、対中統一戦線を構築するとともに、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を強く押し進めて、東アジア諸国間に元々あった正常な発展の自主的協力と地域統合のプロセスを混乱させようとしている。
米国の言うリバランスが実際には、元々極めて深刻な不均衡を一層全面的に激化させるものであることがわかる。
われわれが、こうした状況を出現させるわけにはいかないのは明らかだ。このためわれわれはアジア太平洋で真の戦略的均衡を実現しなければならない。その鍵となるのが東アジア問題をしっかりと処理することだ。
政治面では、東アジア問題は東アジア諸国が自ら管理すべきであり、外部勢力に左右されてはならない。東アジアは東アジア地域と東アジア諸国間の安全保障問題を解決するため、自らの地域安全保障体制を確立しなければならない。反ファシズム戦争によって打ち固められた東アジアの平和の政治的基礎を断固として守り、第2次大戦中に各大国が共同で決めた領土範囲を含む日本関連の一連の戦後の取り決めを改めて全面的に実行に移し、日本の軍備を厳格に制限し、日本軍国主義の復活と捲土重来を防止しなければならない。朝鮮半島の片方のみの非核化という袋小路から抜け出し、朝鮮半島の安全保障と平和の問題を根本的に解決しなければならない。つまり朝米間、朝韓間の戦争状態を正式に終結し、全ての外国軍が朝鮮半島から完全に撤退して、朝鮮半島の全面的で徹底的な非核化と自主的な平和的統一に必要な条件を創出しなければならない。団結できる国は最大限団結させる。実際には、中国と領海主権紛争を抱える国々を含む多くの東アジア諸国は新冷戦構造の形成や米国の新冷戦陣営への参加を望んでいない。米国の多くの同盟国ですらそうだ。こうした国々は他ならず中米間で均衡を図り、空間を探そうとしている。こうした国々はいずれも中国が団結し獲得すべき対象であり、団結し獲得できる対象だ。