ファーストレディー外交も国家のソフトパワー
習近平主席のロシア、南アフリカなど4カ国歴訪には彭麗媛夫人が同行している。最初のロシア訪問が始まると、中国のネットユーザーは彭夫人の活動にも強く注目した。全体的に彭夫人の内面やセンスの良さを評価する声が上がっており、国際メディアも「魅力攻勢」「中国のソフトパワーを示す」といった言葉で彭夫人の初登場を評価している。(文:石嘉。新京報掲載)
こうした注目は偶然ではない。有名な歌手という立場と大衆の知名度から、彭夫人は国家主席夫人となって以降、なおさらに多くの期待を寄せられ、メディアにも注目されてきた。基本的にファーストレディーに容姿や身分上の明確な基準はないが、外交上のポイント、夫のためのポイントとなり、争いを減らすことは共通だ。
国際舞台を見るとオバマ大統領のミシェル夫人やプーチン大統領のリュドミラ夫人などファーストレディーにはそれぞれのスタイルや特徴がある。多弁な夫人もいれば、物静かな夫人もいる。しょっちゅうニュースになる夫人もいれば、控え目で表に出ない夫人もいる。歴史を見るとフランクリン・ルーズベルト大統領のエレノア夫人は落ち着きと寛容さで米国を虜にし、ケネディ大統領のジャクリーヌ夫人は華やかな美しさでファッションリーダーとなった。
オムニメディア時代の今日、ファーストレディーの着こなし、アクセサリー、言葉遣いや立ち居振る舞い、個人としてのスタイルなどについての評価に民衆やメディアが熱中するのも極めて自然なことだ。そして今、中国のネットユーザーも彭夫人のファッションや立ち居振る舞いについて討論し、エイズ関連の活動を称賛することができるようになった。これは中国政治の透明性と公開性を高める新たな契機でもある。
ファーストレディーはその国のイメージを構成する一部でもある。行政上、何ら専門的役職にはないが、国家元首の外遊に同行し、国内外の政治活動に参加する中で、国家のソフトパワーを示す重要な存在となる。国家元首の伴侶として、またその国の女性の代表として、国家間のパブリック・ディプロマシー、国際的議題の提唱、公共サービス、慈善などの分野で自ずと強みを持つ。国家間の正式な交渉には参加しないが、文化、観光、社会サービス分野で他国の国民と交流し、自国の文化を示して、他国に理解を促すことを妨げるものはない。その役割はかけがえのないものだ。
だが別の角度から見ると、ファーストレディーはファーストレディーに過ぎず、夫の政治の輝きの背後に黙って隠れていることの方が多い。中国のファーストレディーに対する今日の国際メディアの注目は、1つには彼女自身の前からの知名度によるもの、もう1つには中国の新指導部のイメージに対する関心によるものだ。中国外交がより開放的になり、自信を強めるに伴い、ファーストレディーがもう話題の中心ではなくなること。実はこれも中国のファーストレディーが果たせる貢献の1つだ。
ファーストレディーが話題の中心からパブリック・ディプロマシー、国家のイメージの中心へと移り、メディアもうその名前に驚くのではなく、その役割と行動を評価するようになった時、世界はファーストレディーという中国のイメージの新たな目玉をより良く受け入れられるようになる。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年3月25日