デビットさんはかつて、中国語の語彙について掘り下げた討論を中国人学生と熱心にしたことがあったが、中国語の語彙の背後に含まれる意味について、明確に彼に説明できる学生はほぼ皆無だった。北京語言大学で教鞭を取る、ベテラン通訳者でもある教師はデビットさんに、「同時通訳専攻の大学院入試に失敗する中国人学生が多い。これは、彼らの英語力が低いからでは決してなく、中国の言語文学に関する基礎知識が乏しいからだ」と話した。デビッドさんは教師の言葉に全くその通りと同意した。
「多くの青年が『愛国』について語るのを聞くが、愛国心とはまず、自分の国の言葉や文化を理解することから芽生えるのではないだろうか。しかし面白いことに、海外に出て初めて自分の国や言語や文化についてじっくり考える機会がやって来るものだ」と語るデビットさん。この現象は、彼自身にも起こったことだ。「中国語を学習する過程で、僕は自分が持つロシア語の語彙が乏しいことに気づいた。もし中学・高校時代に戻れるのなら、国語をもっと熱心に勉強し、ロシア文学をしっかり学びたい。僕は今、『新しいロシア』を知った。民族性のあるものこそ、世界的なものとなりえるのだ」。
デビットさんはまた、「自分は何故学ぶのか」について目的意識をはっきり持たない中国人学生が多いことに気がついた。中国語専攻の学生だけではなく、多くの中国人学生が、専攻学科を学ぶ理由や目的をはっきりと持っておらず、専攻の入試に合格したからという理由だけで進学したようだ。「専攻を特に好きではないかもしれない。でも、本当にそれを学びたくて受験したのに、残念ながら失敗した学生もいることを考えてみて欲しい。両親の期待に背いてはならない」とデビットさん。彼はまた、普段は全く勉強せず、日がな一日コンピュータゲームやネットサーフィンで遊び、テスト2週間前になると慌てて徹夜で勉強に手をつける学生が多いという事実も発見した。「目標が無ければ、何のために学ぶのかが分からなければ、自分自身で選ばなくとも、運命が当人に変わって将来の道を選ぶことになるだろう」。
デビッドさんは、今の大学生は自分の「前途」ばかりを気にかけていると感じている。多くの学生は大学に入学した途端、海外留学に向けた試験の準備に取り掛かるか、あるいは学生会などの活動に参加することが就職活動を進める上で有利になるか否かを考える。「中国人学生はあまりにも先を急ぎ過ぎる。彼らは一体何をそんなに焦っているのだろうか?」とデビットさんは首をかしげる。
「就職先が見つからないことを僕に愚痴ってきた人がいたので、その人に、どんな仕事をしたいのかと尋ねてみた。彼は、高報酬が期待できるので弁護士になりたいと答えた。でも、彼が弁護士の仕事を詳しく知っている様子はない。好きかどうか分からない職業に、どうして就きたいと言えるのだろうか?」とデビットさん。
デビットさんによると、ロシアの大学生は大学の専攻を選ぶ際、あくまでも自分の興味に基づいて選択し、職業から専攻を選ぶことはあり得ないという。「ある分野に本当に興味があれば、その道の専門家として成功することができる。その人は社会から求められ、お金は後からついてくる」とデビットさんは笑いながら語った。
「就職先を探すことは実際難しいが、中国の若者には多くのチャンスがあると思う。100のチャンスを願い、100の口実は避けるべきだ。今できることをしっかりやって、見返りを求めないことが大切だと思う」とデビットさんは話した。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年9月27日
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