108人の在中日本人 「それでも中国に住む理由」を語る(1) (2)
◆メディアの偏向報道 中国人に殺されるなという忠告も
本書を読み、筆者を取材した結果、中国をよく理解しているこれらの日本人筆者たちは皆、日本メディアの中国に関する報道が全面的でなく、客観性に欠けると考えていることが分かった。中日関係が悪化した場合、日本メディアは負の情報しか報じないのだ。
本書の筆者の一人である笈川さんは例を挙げ、昨年9月の野田佳彦前首相による釣魚島の「国有化」が、一部の中国人の抗議を引き起こした際、日本メディアは日本車や百貨店が破壊されるシーンばかりを繰り返し放送したと述べた。これにより笈川さんの姉やその他の親戚・友人が心配し、電話の中で「中国人に殺されるな」と注意してきたという。笈川さんは、「こういう時に、彼らの見ているものと、私の体験していることが異なると感じる。実際に私はいかなる危険にも遭遇したことはない」と語った。
もう一人の筆者、中国で広告会社を経営する山本達郎さんは記者に対して、「日本メディアの報道により、私の家族は中国全体が抗議デモを行っていると思った。私の周囲の日本人は中国との戦争を絶対に望んでいないが、日本メディアからは非常に強硬な開戦の態度が見て取れる」と話した。
山本さんが目にしたある日本メディアの記事によると、中国に進出した日系企業の70%以上は、中国に引き続き留まり自社の経営に専念すると表明した。しかし同記事の見出しは、「30%の日本企業が中国撤退を検討」とされていた。山本さんは、「同じことでも異なる角度から見れば、異なる結論と印象が導き出される」と指摘した。