中国の個人貯蓄が5年で倍増 3つの問題点
中国人民銀行(中央銀行)がこのほど発表した最新のデータによると、今年8月末現在、中国の個人預金残高が3カ月連続で43兆元を超えたという。過去5年間で、個人貯蓄は2倍に増えたことになる。あるメディアの報道として「経済参考報」が伝えた。
収入は倍増していないのに、貯蓄が初めて2倍増加した、これは正常なことではない。特に経済が持続的に低迷する情況の中で、貯蓄が急速に増加していることには、真剣に検討し注目に値する隠れた矛盾点や問題点がある。
まず理解しなければならないのは、こうした結果は国民の起業意欲の低下や起業環境の不備と極めて強い関連があると考えられることだ。中国のような人口大国が、「他人」にばかり頼って雇用ポストや雇用機会を提供するとすれば、雇用問題の根本的な解決は難しくなる。重要なのは、個人が自主的に起業し、自主的に雇用機会を創出できるようになることだ。
だが、主体的に起業し、自身のために雇用機会を積極的に創出するには、2つの方面の要因が決め手になる。まず、個人に起業の熱意と意欲がなければならない。たとえば強い起業の熱意と意欲があれば、起業のルートや方法を自然と積極的に模索するようになる。浙江省の温州市や台州市のように、起業が当たり前のことになり、あちこちで店や工場が開かれ、一般の人々が起業して富を手に入れるようになる。次に、起業の条件と環境が整わなければならない。個人が起業したいと思っても、条件と環境が整わなければ、起業の熱意と意欲に水を差すことになると理解しなければならない。そうこうしているうちに、人々の起業に向けたエネルギーが消え去ってしまうことになる。
高い貯蓄率の出現は、個人の起業への熱意や意欲が低下しつつあること、起業家の数が減少しつつあることをある程度反映している。そうでなければ、所得の増加ペースが速いとはいえない5年間に、個人の貯蓄が2倍に増えるという現象は起こりえない。