中国、華やかになった都市で失われた人情 独紙
25日付独紙ディ・ヴェルト(Die Welt)に掲載された「5万人の隣人が住む高級マンション・Brilliant City(中遠両湾城)」と題する文章によると、この広大なマンション群は、上海最大の超高級マンション群で、大勢の人が住居エリアで生活しているが、お互いの顔も名前も知らないという。このような「都市の中の都市」は、極めて贅沢な居住施設であり、中国の将来の住宅モデルでもある。環球時報が報じた。
住居エリアは、一見したところ、全てが「モデル都市」のようだ。あちこちに川が流れ、橋が架けられ、地下鉄駅まである。天まで届きそうな高層ビルが、全く同じ姿かたちで立ち並んでいる。数年前からここに住んでいる鄭さん(50)は、今日もまた道に迷ったという。あらゆるビルの外観が、寸分の違いもないほど同じだからだ。ビルは全く同じ設計で、違いは皆無。道に迷うのは住民だけではない。タクシーの運転手さえもが、「高層ビル」の谷間で道に迷う始末だ。
この超高層マンションの住民は5万人、うち約5%は外国人という。ここには、学校、幼稚園、スーパー、スターバックス、フィットネスセンターなどありとあらゆる施設が揃っている。この「都市の中の都市」は、中国における現代都市生活のモデルとなっている。中国各地では、このような大型住居エリアの建設プロジェクトが10件以上進められている。昔は誰もが小さな家に住んでいたが、今では、現代的なマンションで生活している中国人がますます増えている。
しかし、このような「華麗な都市」には、デメリットもある。隣人の名前さえ知らず、憂鬱や孤独から病気になる人もいる。マンション一戸の購入価格は400万-500万元(約5900万円から7400万円)する。鄭さんは2008年、マンションを購入したが、現在では当時に比べ価格はかなり高騰した。英語の教師をしているマッケンジーさん(30)は、2012年秋に住み始めた。彼は、「西洋人の目から見れば、ここはあまり良い住まいとは言えない。だが、中国人にとっては非常に贅沢な住まいだ」と指摘した。最近、金魚を飼うようになった彼は「もう独りぼっちではない」。隣人とはほぼ誰とも付き合いがないという。
上海には依然、昔ながらの家が多い。低層で、下水道設備が整っていない住居も多い。しかし、近所には市場があり、住民は新鮮な野菜や活きた魚・鶏を買い求めることができる。また、隣人との付き合いも活発だ。それでも、現代的なマンションにあこがれる人は多い。上海の某シンクタンクの専門家は、「中国では、増加の一途をたどる都市人口に対応するため、今後20年以内に、このような高層マンション群が80以上建設されるだろう。中国には毎日のように、『Brilliant City』が誕生している」と指摘した。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年2月26日