東日本大震災2周年 孤独死・家庭内暴力が激増
東日本大震災の発生以来、「復興」が日本にとって最大の課題となったが、最近、被災地の復興スピードが遅すぎるのではないかと疑問の声が上がっている。また、国内の一部メディアは、被災者の「心の復興」が実現するのは、いつになるのか見当もつかないとの見方を示し、孤独死や家庭内暴力などの事件が激増している現状を報じている。文匯報が伝えた。
時事通信は、東北地方の岩手・宮城・福島3県沿岸部で避難区域に指定されている42市区町村の住民のうち、急ぎ介護を要する高齢者は2万9937人と、2011年同期比16%増加したと伝えた。震災後2年間に「孤独死」した被災者は54人に上り、うち40歳代と50歳代の中年が多かった。
日本淑徳大学の結城康博・准教授は、「長期に及ぶ避難生活で、避難住民の身体状況は悪化の一途をたどっている。それに加え、復興スピードがあまりにも遅いことが、多くの人々にとってさらなる心理的負担となっている。このような状況が、被災地での『孤独死』増加の重要原因となっている」と指摘した。また、「避難先での生活は、結局、『我が家』で暮らしているという感覚にはなり得ない。帰宅することは、高齢の人々に取って極めて重要なことだが、現状を見る限り、被災地の再建にはまだまだ長い時間がかかりそうだ」と続けた。
NHKの報道によると、孤独死のほか、福島などの被災地では、被災者の家庭の6割以上で夫婦間暴力が起きており、子供に対する虐待も明らかな上昇傾向にあるという。
警察の統計データによると、2012年以降、福島で警察に届けられた家庭内暴力の被害件数は、過去最高の840件をマーク、前年比64%増加した。家庭内暴力の被害者は多くが女性だった。また、子供に対する虐待は、同76%増の109件。同様に、巨大地震と大津波の被害が深刻だった宮城県では、家庭内暴力の件数は2011年比33%増の1856件に達した。
岩手県大槌町の公営仮設住宅に住む32歳の女性は、朝日新聞の取材に対し、「なぜ今のような状況になったのか、私には全く分かりません。震災後、夫は職に就くことができず、別人のように変わり果てました。酒に溺れ、口から出るのは恨みごとばかり、そして最後には私に暴力を振るうのです」と訴えた。
警察は、被災世帯で家庭内暴力が増えている原因として、以下3点を挙げている。(1)被災者の多くは、故郷を失った上、長期間仕事に就けない状態が続いており、将来に対して悲観的になっている(2)仮設住宅など狭い居住空間に仮住まいしていることから、さまざまないさかいや重苦しい雰囲気が起こりやすい(3)夫婦が別居を強いられる被災世帯もあり、夫婦のコミュニケーションに支障が生まれ、対立が生まれ、夫婦間暴力に発展するケースが多い-----。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年3月11日