「ハイリスク期」を前に中国は慌てず落ち着きを保つべきだ
アジア太平洋情勢はすでに「ハイリスク期」あるいは「準衝突」状態に突入した。北東アジアでは朝鮮半島が一触即発の状態、もはやこれまでかという瀬戸際にある。東中国海では日本が中国の釣魚島(日本名・尖閣諸島)の主権に対する挑発を自制する考えが全くないばかりか、先日には台湾側といわゆる「漁業協定」を締結までした。2012年初め以来の両岸の「釣魚島防衛の黙契」を弱体化させ、切り崩す企てであることは明白だ。南中国海では4月初めの米国との合同軍事演習の硝煙がまだおさまらぬうちに、フィリピンが海上で公然と中国漁民12人の身柄を拘束したうえ、起訴して裁判にかけると言い立てた。(文:偉達・国際文化戦略研究専門家。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
アジア太平洋情勢の「ハイリスク期」の形成は、客観的には地域の長年来の歴史的要因および地政学上のもつれと関係がある。具体的には、近年の米国による「アジア太平洋リバランス戦略」の実施および影響との関わりが除外できない。事実が証明しているように、アジア太平洋地域は過去半世紀余りで急速な発展を遂げたが、内在的衝突と外部勢力の介入に挟み撃ちにされると、やはり脆弱さと無力さが目立つ。
欧州が発展と成長の過程で2度の世界大戦を引き起した歴史を挙げて、アジア太平洋地域も21世紀初めに同じ過ちを繰り返す可能性があると悲観的に考える声すら上がっている。この比較は表面的に見ると少し似てはいるが、アジアと欧州は文化、伝統、政治構造のいずれにおいても大きく異なることを忘れてはならない。
まず、アジア太平洋地域は中国の儒家と道家に由来する文化が深い影響を与えているうえ、仏教の伝統もあって全体的に調和と平穏を求める文化であり、競争と征服という欧州式の文化とは異なる。第2次大戦中に日本はファッショ文化を引き入れてアジア太平洋地域の侵略・併呑を企んだが、最後には周知の通りの恥ずべき失敗を迎えた。
また、欧州は中心的大国がないことが特徴だ。英国、フランス、ドイツ、イタリア、ロシアなどの列強は当時互いに譲歩せず、度々衝突と戦争を引き起した。一方アジアは地政上、中国とインドという伝統的大国を中心に構成されており、大国が自己強化を堅守し、落ち着いて行動し、堅固な中心的柱の役割を果たし、少が多を制しさえすれば、個々の国または地域が騒動を引き起すのを恐れることはなく、たとえ外部勢力による介入の要素があっても恐れることはない。
この意味から言って、現在のアジア太平洋情勢の「ハイリスク期」を前に、中国が突然の異変にも慌てず落ち着き、硬軟両手段をしっかりと準備すると同時に、アジア太平洋での政治的・経済的利益の譲れぬ一線を確保するために「準衝突」は放任するも「本当の衝突」は望まないという米国の特徴を把握し、米国やロシアと危機について「大国調停」を大胆かつ積極的に繰り広げ、米国のアジア太平洋戦略に対してリバランスを行い、自ら言いがかりをつける一部の国に対して高圧と掣肘を維持しさえすれば、平和的発展による大きな利益が利己的な小賢しい野心を最終的に圧倒し、アジア太平洋地域の安定的で持続可能な発展が確保されるのだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年4月16日