アジアの通貨体制をかき乱す「黒田緩和」
黒田東彦日銀総裁は就任後初の政策によって世界のスポットライトを浴びることとなった。マネタリーベースを2年間で2倍にし、日銀の国債保有残高を年間50兆円増加し、リスク資産の購入規模を拡大する。そのいずれもが投資家を強く刺激するものだ。中国証券報が伝えた。
日銀が米連邦準備制度理事会(FRB)に学んでいることは間違いない。だが日銀の量的緩和とFRBの量的緩和には本質的な違いがある。FRBの量的緩和は主に2つの目的を達成するためのものだ。第1に、金融機関が自力では償却できない不良資産を買い取ることで身軽にさせ、サブプライム危機本格化後の市場信用システムを回復すること。第2に信用システムが基本的に回復した後に、国内の資金調達コストを極めて低い水準に抑えることで、米国経済が活力を回復するための緩和的な資金環境を提供することだ。米国の実体経済が緩やかに回復することができたのは、主に苦しみを伴うレバレッジ解消、在庫解消、プロダクト・イノベーションの過程を経たからであり、FRBの量的緩和はそのために緩和的な外部環境を提供したに過ぎない。言い換えるなら、量的緩和は決して種そのものではなく、むしろ種を湿らせる春の雨なのだ。
日本の量的緩和は実施環境が米国と明らかに異なる。第1に、日本の金融システムの流動性は全く問題でない。日本の金融機関がかねてより心配しているのは資金の有無ではなく、過剰な資金をどこへ投じるかなのだ。次に日本企業は資金調達コストの問題は昔から心配する必要がない。日本が一貫して世界で最も安上がりな資金供給者であることは世界中が知っているからだ。例えば過去10年間の日銀の翌日物金利の誘導目標は最高で0.5%だ。当時リーマン・ブラザーズはまだ破綻していなかったが、米フェデラル・ファンド金利は5.25%にも達していた。