買い物レシートに発がん性物質が含有
「スーパーマーケットで買い物をした時に渡されるレシートには、ビスフェノールA(BPA)が含まれており、皮膚から人の体内に入ると、生殖系に影響を及ぼし、ガンが発生する恐れがある」--。中国版ツイッター「微博」にこのほど、「ご注意!スーパーで買い物したレシートに発がん性物質BPAが含有」という書き込みが投稿された。ネットユーザたちは、「いつも行くあのスーパーのレシートは、大丈夫かしら?」と、ごく身近にあまねく存在している隠れた魔の手に驚愕し、怯えた。専門家は、「買い物をしてレシートを受け取ったら、できるだけ手を洗った方が良い」とアドバイスしている。銭江晩報が伝えた。
○スーパーで一般に用いられているのは、BPA含有の「感熱紙」
スーパーのレジで会計を済ませた後レジスターから出て来る、あのほんのり温かい紙に発がん性物質BPAが含まれている疑いは、極めて濃厚だ。
記者は17日、杭州内の大型スーパー数店を訪れた。どの店でも、レジスターから出て来るレシートの表面を指でこすってみると、紙と指との間の摩擦で熱が発生し、黒くなった。
スーパーのレシートにBPAが含まれているという投稿は真実なのだろうか?その場合、人体にどのような弊害があるのか?浙江大学で高分子関連の研究に携わる沈烈・准教授は、「スーパーのレシートには、普通、『感熱紙』が用いられており、この『感熱紙』には、顕色剤としてBPAが使われている」と語った。
沈准教授は、「感熱紙は、基材となる良質の謄写原紙の上に『感熱塗料』を塗布した構造となっている。印刷時に、プリンタの印字ピンが加熱されて充填物を溶かし、それによってインクと現像液が接触する。現像液の作用でインクに化学変化が生じ、無色から黒またはその他の色に変わり、紙の上に印刷される。BPAは現像液を構成する成分の一つとして用いられている」と説明した。
○「レシートに触れるとBPAでガンになる」は言い過ぎ
この種の感熱紙は、スーパーのレシート以外に、クレジットカードで買い物した時にPOSレジから発行される「お客様控え」、ATMで預け入れや引き出しを行った時の「利用明細書」、タクシーの領収書、宝くじ、駐車券、ファックス用紙などに広く使われている。
「感熱紙」のにおいをかぐだけでも危険があるのだろうか?専門家は、「BPAが人体に入る方法は、口・鼻を通じて入るケースと、皮膚の毛穴を通して入るケースの2種類ある。大量のBPAに接触すれば、健康に悪影響が及ぶのは確実だ。しかし、BPAの毒性は極めて大きいという訳ではない。レシートを手で持っただけでBPAが体内に入り込み、ガンが発生する可能性がある、というのはいささか誇張しすぎた言い方で、過度の心配は無用だ。もっとも、少しでも接触しているという自覚は、常に持っておく必要はある」と指摘した。
○レシートに接触した後は、手洗いを励行すべし
米ハーバード大環境衛生学部の研究チームが妊娠中の女性389人の尿中BPA濃度を調べたところ、スーパーのレジ担当者のBPA濃度が1グラムあたり2.8マイクログラムと最も高く、教師が1.8マイクログラム、工場労働者が1.2マイクログラムだった。
研究チームは、「検査対象となった妊婦のうち、スーパーのレジ担当者はわずか17人だったことから、この調査結果は慎重に分析する必要がある。しかし、レジ担当者は仕事中、手袋をはめるなどの防衛策を講じた方が良い」と指摘した。
浙江大学の沈准教授は、「スーパーのレシートに触れることで、どれだけの危害が生じるかについては、現段階では実験による論証は得られていない。しかし、BPAの毒性はここ数年、学界の焦点となっており、BPAが人の生殖系、神経系、行動・発育に悪影響を及ぼすことは、一致した見方となっている。慎重すぎるきらいはあるが、誰もが、特に妊婦や幼児は、接触する機会を減らすよう心掛け、接触した後は手洗いを励行すべきだ」とコメントした。
○BPAへの接触を回避するには?
権威部門は、少量のBPAの毒性について明確な結論を出していないが、慎重な態度で臨むに越したことはない。次のような小さなことを習慣化すれば、BPAの接触を回避することができる。
1、電子版の領収書が入手可能ならば、紙のレシートは受け取らない。
2、レシートを保管する必要がある場合は、1つの封筒に入れ保存しておく。
3、レシートを触った手で食べ物に触る場合は、手を綺麗に洗うこと。ただし、アルコール含有のハンドソープは使ってはならない。アルコール成分は、BPAの皮膚浸透を促進する作用がある。
4、手が濡れている、あるいは油分がついている場合は、レシートを触らないこと。実験によると、乾燥した手でBPA含有のレシート(BPA含有率:1キログラムあたり8.17グラム)を5秒間持った後、人差し指と中指に1マイクログラムのBPAが残留していた。ところが、手が濡れている、あるいは油分がついている場合、残留量は10マイクログラムに達した。
5、手が汗ばんでいる、あるいは怪我をしている場合は、傷口をよけ、近い部位で触らないこと。感熱紙レシートにスクラッチくじがついていても、爪でこすらないこと。
6、乳幼児や児童がレシートに触れることのないよう注意する。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年6月19日