社科院の学者、「中国人の7割が65歳まで働くのは不可能」
中国経済週刊はこのほど、中国社会科学院(社科院)社会政策研究センターの唐鈞秘書長の評論記事を掲載した。
以下はその主な内容。
2030年をめどに定年退職年齢を65歳にまで引き上げるという、清華大学(北京)が提出した養老保険(年金保険)体制改革案がインターネット上に掲載されていた。同案の主な部分である、「国民基礎養老金+個人貯蓄養老金」の「二元制」モデルには、煮詰める必要も一部あるものの、基本的には賛同している。しかし、「養老金の受給年齢を引き上げる」という部分には賛同できない。同改革案は、2015年から段階的に始め、2030年までに養老金を受給する年齢を男女共に65歳まで引き上げるとされている。これにより、定年退職年齢の引き上げという問題に、再び注目が集まった。
私が定年退職年齢の引き上げに反対するのには、主に2つの理由がある。1つ目は、中国の男女のうち70%が65歳まで仕事をするのは不可能であるという点だ。通常、女性なら40歳、男性なら50歳になると、仕事先を見つけるのが難しくなる。2つ目の理由は、中国で最も大きな問題は就職問題で、労働者の高年齢化が進むと、今度は若者の就職活動に影響をもたらす。
もちろん、在職の従業員一人ひとりが安心して65歳まで働くことができ、高齢者や体の弱い人を雇う企業が必要な世話を提供する、失業したとしても、失業保険で養われるというなら話は別だ。また、若者の就職にも影響が出ず、労働力市場に若者を受け入れる十分な職があり、起業の機会も十分にあるというなら、定年退職年齢を引き上げても何の問題はないだろう。
しかし、そうでないのなら、定年退職年齢を引き上げることは論じてはならない。なぜなら、高年齢者は就職や収入が安定しないにもかかわらず、養老保険金を収めなければならないため、不満を抱くようになり、一方の若者も、就職の機会が少なく、体裁の良い仕事がなかなか見つからないことに不満を抱くようになるからだ。このような問題は経済社会という範囲を超えて、政治問題へと発展し、社会の不安定要素となり、政情不安さえもたらしかねない。これは、ほとんどの中国人が決して目にしたくない結末だ。(編集KN)
「人民網日本語版」2013年8月20日