専門家、「2020年以降、隔年で定年延長」を提案 中国
中国で論議が長く続いている「定年延長の是非」をめぐり、世間では論争が再燃している。中国社会科学院人口・労働経済研究所の李小平研究員は、「中国は、希望者を対象とした柔軟な退職制度を2020年までに確立し、2020年以降は、隔年で定年を1年ずつ延長し、2030年に法定定年年齢を65歳とすべき」と提案した。人民網が伝えた。
統計データによると、定年延長の是非をめぐり、業界からは、以下3つの異なる意見が出されている。
1 定年延長に賛成
中国の労働者の定年は総じて早い。これにより、国家の養老負担が重くなる一方、マンパワーの無駄使いがもたらされている。
2 定年延長に反対
中国の就業難は深刻な状況にあり、定年を延長すれば、就業にマイナス影響が及ぶことは避けられない。
3 柔軟で段階的な定年延長に賛成
段階を経て、徐々に法定定年年齢を延長する。
李研究員の提案内容は次の通り。
「2020年までは、法定定年年齢を延長せずに、希望退職者のみを対象とした退職システムを導入すべきだ。これは、社会の実際の需要に見合うものであり、特に、大学教員、研究機関職員、政府部門職員については、1年の定年延長につき養老年金を5%前後引き上げる。米国は、この方式を採用している。
現在の就業情勢から見て、2020年までは厳しい就業情勢が続くと見込まれる。2020年以降、法定定年年齢を2年に一度、1年間延長するならば、2030年には中国の法定定年年齢は65歳となる。また、人口統計データによると、2030年には、中国の人口増加率はゼロに近づき、就業圧力もかなり緩和されると予想される。全世界における高齢化プロセスは、各国の定年年齢引き上げをもたらしている。これは大局の赴くところだ。
40歳過ぎで退職し、世界一周旅行をしている米国人に出会ったことがある。米国における定年退職の概念は、中国とは異なり、米国には『強制された定年年齢』はもはや存在しない。10年間働いて退職したいなら、いつでも退職できるが、年金の受取開始は65歳以降となる。また、退職年齢を遅らせたいならば、そのまま職場に残ることも可能だ。」
中国における現行の退職年齢は、『労動保険条例(1951年)』により、男性60歳、女性50歳と定められている。『国家公務員の定年退職に関する暫定弁法(1955年)』で、女性幹部の退職年齢が55歳に引き上げられたが、女性の一般労働者は50歳のままだ。特別に体力を必要とする作業、地下・坑道や屋外での作業、有害物質を取り扱う作業に従事する労働者は、5年前倒しで退職することが認められている。