上海公安局、中国人の個人情報を売買していた調査会社を捜査
上海市公安機関は16日、市民の通報に基づき捜査を実施し、中国国民の個人情報を違法に取得したとして、英国国籍のPeter William Humphrey容疑者(57)と、その妻で米国籍の虞英曾容疑者(60)を逮捕した。2人は中国で、調査会社「摂連諮詢有限公司」を立ち上げていた。中国の警察が、外国人が中国で登録している会社が違法な調査を実施しているとして捜査に乗り出したのはこれが初めて。新華網が報じた。
Peter容疑者らは2003年、ビジネスコンサルティング調査業務を担う会社とうたい、香港で中慧公司(Chinawhys Company Limited)を立ち上げた。しかし実際には、事務所もなければ、スタッフもいなかった。2人は04年、上海浦東新区で「摂連諮詢(上海)有限公司」を立ち上げ、09年には事務所を徐匯区に移したほか、スタッフ約10人を雇い、業務を展開していた。
警察の捜査によると、Peter容疑者らは03年以降、戸籍住所や家族構成、出入国情况、所有する不動産や自動車など、大量の中国国民の個人情報を購入するなどして違法に収集。それらの情報を分析してまとめ、「調査報告」を作成してクライアントに売り、年間数百万元(100万元=約1600万円)の利益を得ていた。2人は同行為が中国の法律に触れることを知っていたという。2人のクライアントの多くは製造企業や金融機構、法律事務所などを含む大手多国籍企業で、年間100件以上の依頼があった。被害者となったのは中国国民だけでなく、一部の多国籍企業や中国の企業、またその従業員らも含まれる。警察はこれまでに、同社の調査報告500件以上を調べ、うち数十件の報告から、中国国民の個人のプライバシーを侵害する行為が見付かった。