3つの緩和政策では日本経済は救えない (2)
▽これからの道のり
それでは13年には、3つの緩和政策が日本経済を短期的な低迷期と長期的な低迷期が共に存在する苦境から救い出してくれるのだろうか。
その可能性は大きくない。日本経済の歴史の跡、構造の特徴、詳細なデータ、状況の展開などを総合的に考えると、次の5つの原因が挙げられるからだ。
第一に、3つの緩和政策ではインフレ効果によって経済を効果的に活性化し成長させることは難しい。1930年代の米国の大不況と同じく、日本経済の長期的な低迷の核心はデフレにある。
長期的なデフレは債務負担を重くし、生産経営を縮小させ、国民の所得の伸びをペースダウンさせ、消費や投資の力を継続的に奪い取る。13年に日銀は安倍首相に圧力をかけられて通貨の投入を増やすとみられるが、長期的なデフレには習慣性があり、インフレ目標を1%から2%に引き上げても実質的にはそれほど意義はない。
より重要なことは、日本には産出量ギャップが長期にわたって存在することだ。産出量ギャップがマイナスにならなかった年は1980年代は8回、90年代は6回、00年代は1回だけだった。08年に金融危機が発生してからはどの年もマイナスで、生産能力が過剰な状態が続いており、実際の総産出量の伸びは潜在産出量の伸びを長期的に下回っていることがわかる。緩和政策は生産能力のプライミング効果となって現れることが多く、長期的なインフレ効果にはならないことが予想される。
第二に、3つの緩和政策では金利の効果によって経済成長を効果的に喚起することが難しい。緩和政策が、特に通貨政策が実体経済に作用する場合の重要な経路は、中期・長期金利を低く抑えることにあり、ひいては経済復興に向けた良好な経済環境を創出することにある。だが長期的なデフレを背景として、流動性が落とし穴にはまっており、緩和政策がさらに中期・長期金利を低く抑えることによる限界効用は小さいといえる。