円安・株価上昇 日本企業の経営に潜むリスクは?
香港紙「文匯報」は海外メディアの報道を引用し、「安倍晋三首相の大胆な景気刺激策を受け、日経平均株価が先週5年ぶりの高水準に近づき、数カ月に渡る円安で1ドル=100円台に乗り、日本の輸出企業が好調な業績を記録している。ソニーは5年ぶりの黒字化を実現した」と伝えた。しかし専門家は、「日本経済は依然として厳しい課題に直面しており、一部の日本企業は好調に見えるだけに過ぎない」と指摘した。中国新聞網が伝えた。
世界格付け機関のフィッチ・レーティングスのアジア太平洋科学技術・メディア・通信業界格付け責任者のSteve Durose氏は、「円安は日本の科学技術企業にとって有利であるが、5−10年前のピーク時に戻ることは不可能だ。ソニーやパナソニックなどの企業の格付けは『投機的』のままだが、これは日本企業がイノベーターとしての地位を失ったためだ」と指摘した。専門家は、「資産売却により獲得した19億ドルの利益を除けば、ソニーは2012年度に巨額の赤字を計上していた可能性がある」と分析した。
Durose氏は、「ソニーはようやく獲得できたこの利益を、戦略的価値を持つ事業(音楽や映画など)に投じるべきだ。しかし同社は、長年赤字を続けているテレビ事業に固執しているようで、役員らが利益の期待できる少量の商品に投資を集中するかが疑問視されており、先行きが不透明だ」と語った。
円安により、日本自動車メーカーにも転機が訪れている。トヨタ自動車は2012年度、純利益を倍増させた。Dunne & CompanyのMichael Dunne社長は、「日本自動車業界は自信と成長の流れを取り戻し、再び有力な競争者になった。しかし日本企業のイノベーション分野における優位は失われており、日本自動車業界の全面的な復活を断言するのは時期尚早だ」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年5月14日