中・欧貿易戦が拡大か 鋼管めぐる訴訟は報復行為?
欧州連合(EU)は中国が特殊鋼管に高額の関税を課したことについて、世界貿易機関(WTO)への提訴を検討しているという。これによりEUは、日本が昨年12月に提起した中国製鋼管への関税をめぐる集団訴訟に加わることになる。ある専門家によると、こうした動きは中国と欧州の貿易をめぐる紛争がレベルアップしたものであり、双方が新たな戦端を開こうとしていることを示すのだという。「国際金融報」が伝えた。
ある事情通によると、EUは、中国がスペインのチューボスとドイツのザルツギッターのシームレスステンレスパイプにかけた関税を撤廃することを求めるという。訴訟は早ければ13日か14日に世界貿易機関(WTO)に提出される見込みで、EUが報復的で、客観的な証拠に基づかないいかなる関税の徴収に対しても法的行動を取る構えであることを示している。
▽課税の背景
WTOに加盟して以来、中国の対外貿易が人々の期待するほど順調に発展しなかったことは確かだ。鉄鋼産業は各国政府から干渉を受け続けている。米国をはじめとする国と地域による、中国の鋼材に対する反ダンピング・反補助金案件が次々に発生している。
中国が輸出する鋼材は世界市場でたびたび反ダンピング・反補助金調査の対象になると同時に、海外から輸入される鋼材も国内の鉄鋼価格に極めて大きな衝撃を与えてきた。このため中国から輸出される鉄鋼製品の中で、鋼管がこれまでずっと海外での反ダンピング・反補助金調査の焦点となっていた。このため国内の鋼管企業は海外への輸出が阻まれると同時に、国内では生産能力の過剰という苦境に陥っていた。そこで国内のシームレスステンレスパイプメーカーである江蘇武進不銹鋼管廠集団有限公司と常熟華新特殊鋼有限公司の2社が国内の関連企業を代表して、商務部に反ダンピング調査の申請を提出するとともに、欧州連合(EU)と日本を原産地とする高性能ステンレスシームレスパイプ製品に対する反ダンピング調査の発動を求めた。
商務部は2011年9月8日に公告を出し、EU・日本原産の輸入高性能ステンレスシームレスパイプに対し反ダンピング立件調査を行うことを決定した。12年5月8日に出した公告では、同製品にダンピングがあったとの仮決定を下した。
同部は12年11月8日に最終決定を発表し、EU・日本原産の同製品に対し9.2-14.4%の反ダンピング税を課し、課税期間を5年とすることを明らかにした。チューボスの製品に対する税率は9.7%、ザルツギッターとその他の企業に対する税率は11.1%とされた。
ある業界関係者によると、11年以降、中国が海外の鉄鋼製品に反ダンピング調査を発動したのはこれが初めてのことで、「なかなかいい反撃」だという。