日本に進出する中国企業とスカウトされる日本の技術者
日本を代表する電機メーカー「パナソニック」や「シャープ」などは、経営危機に陥っており、事業再編のため早期退職の募集を大規模に進めている。一方、中国企業は、日本人技術者のヘッドハンティングを加速させている。人民網が報じた。
中国の家電大手・海爾(ハイアール) も 日本人技術者のヘッドハンティングを進めている中国企業の1つだ。同社は2011年、パナソニック傘下の三洋電機の白物家電事業(冷蔵庫と洗濯機事業)を買収。12年3月には、洗濯機を開発するための「京都R&Dセンター」を京都に、冷蔵庫を開発するための「東京R&Dセンター」を群馬に新設した。さらに、三洋電機以外の企業をも対象にし、技術者のヘッドハンティングを進めている。
同社が、日本の技術者を積極的に採用している理由はいたって簡単で、技術者の商品開発や製造技術能力を、日本以外の市場で販売する商品にも運用したいからだ。京都と群馬の開発拠点も、日本だけでなく、ベトナムやタイ、インドネシアなど、アジア6カ国を対象にした商品を開発している。
日本の技術を最大限利用するため、同社はさらに、研究開発拠点にいる人材だけに頼って商品を開発するのではなく、開発の扉を企業外にも広げ、ほかの企業や研究機構と提携して、商品の開発に取り組むという、新たな開発スタイルをも取り入れている。
その一環として、同社の「京都R&Dセンター」は最近、地元の中小企業を対象に、自社の課題を発表し、その解決策を求める協議会を開催。中小企業25社の連合体「京都試作ネット」に所属する技術者らが出席した。同団体は、01年、京都の機械金属系企業10社が立ちあげた。
実際には、同社の製品開発・販売管理を行う統括会社・ハイアールアジアインターナショナルが、三洋電機以外にも目を向け、ほかの企業の技術者をヘッドハンティングしているのにはもう一つの目的がある。それは、社内のイノベーション能力を高め、企業内部をさらに多元化することだ。「京都R&Dセンター」の松本雅和・技術総監は、「当センターのスタッフのほとんどが三洋電機出身。そのため、外部の人材を積極的に採用し、新しい風を入れたい」と語っている。