しかし第一に、被告は長期にわたって化粧品の生産、販売に従事し、原告とは競争関係にあり、被告は原告の商標や商号について間違いなく接触でき、「大宝」、「Dabao」商標が原告の商標や商号であることを知っているはずである。このため、被告が他者と取引して経営業務を展開する場合にも依然、慎重に注意義務を尽くし、他者がすでに所有する権利に対する侵害は避けなければならない。第二に、被告は形式的には「大宝日化(香港)公司」と提携しているものの、実際には原告の商標のブランド力を利用し、被告と原告の生産商品の混同または誤解を招きやすくさせており、このような行為は公平、誠実信用の原則を逸脱するものである。最後に、いわゆる「大宝日化(香港)公司」は2011年に登録され、原告の設立時期からははるかに遅く、なおかつわずか1年足らずしか存在しておらず、相応の化粧品生産能力を兼ね備えていないことは一目瞭然である。
商標法上の規定が言うまでもなく、中国の「反不正当競争法」もまた、「無断で他人の企業名称又は名前を利用し、他人の商品であると誤解を与えた場合、不正競争を構成する」と規定している。
経営者が消費者に誤解を与えることを制止し、消費者の合法的権益を保護することが、商標法及び不正競争防止法の重要な立法目的の一つである。消費者の誤認識の発生は、市場における消費過程において形成されるものであり、このため商標権の侵害及び不正競争を司法が認定する場合、関連市場の消費者の特徴や一般知力の具備、注意力や受け入れる一般消費者の認知能力を必ず考慮しなければならない。被告の関連行為は、被告の製品が原告の製品であること(商標権侵害)、被告が原告とならかの提携関係を有すること(不正当競争)を一般消費者に充分に誤認させる。
最終的に、深セン中級人民法院は原告の主張を支持し、被告の権利侵害の停止と原告の損失の賠償を認める判断を示した。