貿易赤字4カ月連続 自動車の対中輸出、前年比8割減
【松浦祐子】財務省が21日発表した10月の貿易統計(速報)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は、5490億円の赤字だった。貿易赤字は4カ月連続で、10月としては過去最大。日中関係の悪化などを受け、特に自動車の中国向け輸出が前年同月と比べて8割超減り、落ち込みが際立つ。
輸出額は、前年同月比6.5%減の5兆1500億円。5カ月連続で前年同月を下回る。品目別では、自動車の輸出額が7280億5千万円で、同12.3%減とマイナス幅が大きい。
背景にあるのは、中国向け自動車輸出の不振だ。前年同月比で82.0%減った。2001年10月の同88.3%減以来の大幅減。当時は小泉首相の靖国神社参拝をめぐり日中関係が緊張していたという。
中国向け輸出全体では同11.6%減で、5カ月連続のマイナス。中国景気の減速に加え、尖閣諸島の領有権問題に端を発した反日デモや日本製品の不買運動の影響が鮮明に出た形だ。一方で、化学製品(同3.9%増)など増加に転じた品目もある。
地域別で最も輸出の落ち込みが激しかったのは、欧州連合(EU)向けで、同20.1%の減少。欧州債務(借金)危機の影響で景気の低迷が続き、英国向け自動車(同43.6%減)、ドイツ向けの液晶デバイスなどの科学光学機器(同31.1%減)が減った。一方、米国向けは、自動車輸出が堅調で、全体でも同3.1%増だった。
輸入額は前年同月比1.6%減の5兆6990億円だった。10月から日本で環境税(地球温暖化対策税)が導入された影響で、原油や石炭などのエネルギー関連の輸入額が減ったことが、全体を押し下げた。
asahi.com 2012年11月21日
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