【第128回】中国の作家によるアップル提訴から見るネットワーク権利侵害審理 (2)
「権利侵害責任法」第36条規定には、“ネットユーザー、プロバイダーがインターネットを利用して他者の民事権益を侵害した場合、権利侵害責任を負い、ユーザーがプロバイダーを利用して権利侵害行為を行った場合、被権利侵害者はプロバイダーに削除、シャットダウン、リンク解除などの必要措置を通知する義務がある。プロバイダーがこの通知を受けた後ただちに必要措置をとらない場合、損害が拡大した部分につき当該ユーザーと連帯責任を負う”とある。当該事案で裁判所は、プロバイダーが提供するリンク、保存する関連内容に権利侵害の疑いがある場合、プロバイダーは悪意がないことを証明し、直ちに権利侵害リンクまたは内容を削除する状況の下、プロバイダーは権利侵害賠償責任を負わないと認定した。ただしアップルの場合は状況が異なり、App Storeの本質はオンラインショッピングサイトで、多くのアプリは有料であり、その収益は全体の3割以上であるため、アップルは自らが多くの開発業者に巨大な商業収益を提供していると同時に、比較的高い審査義務も有することになる。消費者がスーパーで消費期限切れの食品や海賊版の本を買うのと同じで、スーパー自身が店内にそのような商品を入荷させない責任を負わなければならない。
さらに裁判所の一つの考え方として、アップルとソフト開発業者は、版権の問題はすべて当該ソフト開発業者が負い、アップルはいかなる海賊版権利侵害責任も負わないと規定する免責声明を約定しているものの、アップルの権利侵害共同責任を免除することはできず、後日の免責はサプライヤーとの契約により賠償を主張することができる、ということがある。
裁判所は今回の権利侵害判決において、一つの商業事実すなわちアップルはしっかりとApp Storeの制限と基準をコントロールしており、App Storeの各ソフト及びサービスの代理店であるということを認定した。このようなコントロール権はまさにアップルのユーザーへのサービスを確かにできるが、一定の責任と義務も負担しなければならない。iPad商標件事案がひと段落した今、中国市場ではこのようなインターネット権利侵害問題が再びアップルのような企業を悩ませることになるであろう。
作者:周暘 段和段法律事務所パートナー弁護士(早稲田大学法学研究科 法学修士)
作者:高嵩 段和段法律事務所パートナー弁護士(北京大学法学部卒業、元北京第2中級人民法院裁判官)
「人民網日本語版」2013年7月15日
>>【中国法教室】