四大銀行 利益世界10位入りは朗報とは限らない
米経済誌「フォーチュン」がこのほど発表した世界企業上位500社番付によると、前回に続きロイヤル・ダッチ・シェルが1位になった。ランク入りした中国企業は95社に上り、2015年には米国企業の数を上回ることが予想される。注目されるのは、この「栄えある番付」の中の「世界で最も利益を上げた企業ランキング」で、中国四大銀行がすべて10位以内に入ったことだ。「国際金融報」が8日に伝えた。
グローバル経済が今なお困難に沈む中、中国企業がこのように目立った成果を挙げたのは、喜ぶべきことであるのは確かだ。だが四大銀行をはじめとする中国企業が利益を上げたのを喜びつつ、多くの懸念も隠せない。今年に入ってから、中国経済の発展は引き続き「高速道路」(成長率7%以上)を走っているが、ペースの鈍化傾向は明らかだ。こうした情勢の下で同ランキングをみると、中国で最も利益を上げているのは引き続き四大国有持ち株銀行や中国石油天然気集団公司、中国石化集団公司、国家電網公司などの独占的企業であることがわかる。
最近、中国に人々にとって印象深かった経済の事件には、少なくとも次の2つがある。1つは、政府が不動産価格調整の必要性に再三言及しているにもかかわらず、価格が過去最高を更新し続けていることだ。もう1つは、実体経済は絶えず困難に見舞われているが、銀行は絶好調で、びっくりするような利益を上げていること、一般の企業のように苦しんではいないことだ。あるデータによると、今年第1四半期(1-3月)に上場銀行の利益総額は初めて3千億元を超え、うち16行でA株市場に上場する2400社あまりの企業の同期の利益総額の50%以上を占めた。これは驚くべきデータであり、中国最大の民間企業家たちでさえ、自分たちは銀行のために働いているのかと苦しみの声を上げている。
極めて皮肉なことに、中国の銀行は最も利益を上げているが、さきには中国の銀行間取引市場に世界中を驚かせた大規模な「資金不足」が出現した。中国の銀行に出現した資金不足現象は、ほとんどの一般市民にはまったく予測できないことだった。多くの市民にとって、中国の銀行とは「豊かな資金」の代名詞であり、資金不足になることなど考えられないからだ。経済の専門家によると、あれほど深刻な資金不足現象が起きたことは、まったくの予想外だったという。
実際、「フォーチュン」の最も利益を上げた企業ランキングであれ、中国銀行間取引市場の大規模な資金不足であれ、一つの問題を物語っている。それは中国銀行はもしかしたら「盛世危言」(繁栄の最中の滅亡の予言)に直面しているのかもしれないという問題だ。