北東アジア地域、特に朝鮮半島の厳しく複雑な安全保障情勢を前に、韓国が自らの安全強化を図るのは怪しむほどの事ではない。だが、もし韓国の選択が地域全体の戦略バランスに衝撃を与え、他国の安全保障上の利益を損なうものであるのなら、事の性質は変化する。韓国は国家間の関係が厳粛であり、とりわけ核心的利益に関わる安全保障問題は軽々しく扱ってはならないことをはっきりと認識するべきだ。(人民日報「鐘声」国際論評)
米韓はミサイル防衛システム「THAAD」の韓国配備を決定した。表面的には朝鮮核問題への対処だが、真の意図は北東アジアの安全保障構造の打破にある。これに対して、国際世論には多くの議論がある。米「クリスチャン・サイエンス・モニター」は、THAAD配備は表面的にはいわゆる朝鮮核問題への対処だが、実際には米国による中国台頭への牽制の一歩に過ぎないと指摘した。ロシアのネット新聞ブズグリャドは、米国が朝鮮問題を大いに利用するのは、中国及びロシア国境付近での長期的なプレゼンスの口実にするためだと指摘した。メディアの指摘は一方的なものではない。韓国首脳は米国の戦略的企てを把握しているはずだし、THAADの真の矛先についても胸の内ではよく分かっているはずだ。数々の兆候が示すように、韓国政府の政策決定者は自国の安危と米国のTHAADを独断専行で結びつけ、このためには地域の安定を破壊することを辞さず、周辺の大国の安全保障上の利益を公然と損なっている。
米韓によるTHAAD配備決定の盲動性と冒険性は明らかだ。この決定は韓国国民の心中の安全上の譲れぬ一線にも深刻な打撃を与えた。8月1日の韓国の世論調査では、朴槿恵大統領の支持率は低迷を続け、60.7%の回答者は朴政権にマイナスの評価を与えた。20歳前後の若者の支持率がすでに10%を割り込んでいることは注目に値する。また、韓国国民は政府が国益を売ってTHAADを配備する誤った決定に強く反対している。
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