「カルテット」の良さは、その精妙で繊細な手法にあり、ありがちな人物設定をせずに、マニアック路線を歩んでいる点にあるのかもしれない。そのストーリーは全10話しかないにもかかわらず、2幕に分かれている。第一幕では、主要キャラクター4人が、謎に満ちた過去と誰にも言えない目的を持って、4話に分けて登場する。一方、第二幕に入ると、すぐにサスペンスのムードが漂うようになり、意外なゲストもたくさん登場する。例えば、巻真紀(松たか子)の夫・巻幹生役で宮藤官九郎が登場する。もともとセリフの中で存在している人物をあえて真正面から描くところから、坂元裕二の破天荒さが垣間見える。
このような演出は、坂元裕二の作風に慣れた本当のファンにしか受け入れられないのかもしれない。そのようなファンがドラマを見るのはレクリエーションのためではなく、何かを追求したり、探求したり、思考を働かたりするためで、脚本家と切磋琢磨し、脚本家を自分の魂のパートナーにするというのが真の目的だ。そのようなマニアックな視点に、多くの視聴者はついて行くことができないものの、視聴率が低いほどマニアックという世の流れにマッチしている。特定のグループの志向に合わせた作品を作るというのは、坂元祐二のような一流脚本家にしかできない技だろう。(編集KN)
「人民網日本語版」2017年3月3日
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