中国農業科学院ハルビン獣医研究所が1日に発表した情報によると、同研究所の基礎免疫チームは世界で初めてエボラウイルスエンペローブ糖タンパクの合成メカニズムを明らかにし、関連薬品の研究開発に新たな理論と根拠をもたらした。1970年代に見つかったエボラウイルスは、ヒト感染によりエボラ出血熱を起こし、致死率は90%に達する。しかし、現在までに臨床応用が認められているワクチンや特効薬はまだ確立されていない。新華社が伝えた。
同チームの王斌博士によると、エボラウイルス粒子表面のエンペローブ糖タンパクは、ウイルスをターゲット細胞に感染させる唯一のタンパク質で、ワクチン研究開発で優先的に選ばれる抗原、抗ウイルス剤の開発の理想的なターゲットになるということだ。
研究チームはエンペローブ糖タンパクの生物合成プロセスに着目し、小胞体分子シャペロンの中のカルネキシンとカルレティキュリンは、エンペローブ糖タンパクの成熟プロセスに関わることを発見した。さらに、エンペローブ糖タンパクGP2サブユニットのN-型糖鎖はタンパク質の切り出しとタンパク質糖鎖の加工、ポリ体の形成、タンパク質のフォールディングなど複数のプロセスを通じて、ウイルスの組立と感染に影響することを明らかにした。
同チームの鄭永輝研究員によると、ウイルスは宿主細胞内の環境により、自身のタンパク質の成熟とウイルス粒子の組立を完了するとしており、これは精密に制御された課程であり、すべての異常もしくは不備が、ウイルスの組立と感染を阻害しうるということだ。この研究は細胞がエンペローブ糖タンパク化によりタンパク質機能を調整するメカニズムを明らかにしており、エボラウイルスの抗ウイルス剤の研究開発に新たな理論と根拠をもたらした。
同研究の関連成果は、米国の「The Journal of Biochemistry」(電子版)に掲載された。(編集YF)
「人民網日本語版」2017年3月3日
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