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台湾の学者・鄭清茂氏が「平家物語」の中国語版刊行 古き友人との約束果たす (2)

人民網日本語版 2017年04月14日10:31

台湾の学者・鄭清茂氏

特筆すべきは、鄭氏は著名な作家、翻訳家の林文月氏と同じ年に台湾大学中国語学部に入学した点だ。1972年の秋、京都で国際ペン大会が開催され、鄭氏と林氏は、それぞれ米国と台湾地区から足を運んだ。その時、二人にとっては卒業してから約10年ぶりの再会となった。また、この大会で、二人は日本の著名な漢学者の吉川幸次郎と出会った。吉川は中日文学界の翻訳の現状について、「日本の漢学界は中国の昔と今の文学を研究しているだけでなく、中国の重要な文学作品のほとんど全てが翻訳されている。一方の中国は日本文学の研究及び文学作品の翻訳があまり進んでいない」と指摘した。確かに、当時の中国では日本文学の翻訳、紹介などには限りがあり、日本の古典文学はほとんど手つかずの状態だった。

そのため、鄭氏と林氏は申し訳ない気持ちになり、その言葉に刺激を受けて、林氏は「源氏物語」を、鄭氏は「平家物語」を翻訳したいと心から願うようになった。当時の状況を振り返り、林氏は、「僕たちは握手して、『必ず成し遂げよう』と約束した。冗談のように聞こえるかもしれないが、二人ともその言葉を心に刻み、それからの努力目標になった」と話した。

その後、林氏は「源氏物語」だけでなく、「枕草子」や「和泉式部日記」などたくさんの日本の古典を中国語に翻訳し、世界的に有名な翻訳家になった。一方の鄭氏も長年米国と台湾地区を行き来して教壇に立ち、勤勉に努力を続けて経験を積み、2012年に12巻本、灌頂巻からなる「平家物語」の翻訳が完了し、40年前の林氏との約束を果たした。日本の二大古典名作のクオリティの高い中国語版がついに誕生したのだ。それぞれが中国語版を完成させたことは、二人が日本文学を翻訳したいという純粋な願いを抱いていたことの証となっているだけでなく、二人が深い絆で結ばれていることも示している。林氏は、「吉川さんはきっと今でも見てくれていると思う。『宋詩概説 中国詩人選』や『元明詩概説 中国詩人選』を翻訳した鄭さんは、『おくのほそ道』や『平家物語』も翻訳した。私たちが日本文化に対して冷淡だと言われることはもうないはず」と話した。(編集KN)

「人民網日本語版」2017年4月14日


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