5月18日午後、中国の国学研究者である羅錦堂氏(左から2番目)が南岳衡山の磨鏡台を見学している。
甘粛省隴西県出身の羅錦堂氏(90)は鄭因百、台静農、毛子水、載君仁、董作賓たちに師事、また海外で生活し、世界各地で講義を行なうなど中国の国学研究に多大な貢献を行なった。湖南日報が伝えた。
前世紀、日本の京都大学に在籍した羅氏は日本には巨大な中国文化の学術研究グループがあることを知り、その大きな力と豊かな成果、整っている保存資料に非常に驚いた。ハーバード大学の中国文化シンポジウムに参加した学者によると、世界有数の中国研究者100人のうち80人が日本の学者で、その他20人は世界各地に散らばっている。広大な中国という大国の学者は今や異国に教えを求め、資料を借り、答えを探しているとは慙愧(ざんき)に耐えないばかりだ。
このことから彼は一層のたゆみない努力を続け、豊富な資料の中から中国人に忘れ去られ、見向きもされなくなった宝物を探し出す決心をした。ある日、東京大学附近の書籍市で日本人が書いた「明代劇作家研究」を発見した彼は、一気に読み終えた。新たな視点と充実した歴史資料、多くの引用資料は中国人が知らない珍しい書籍だと感じた。この書籍の作者である八木沢元氏は湯臨川の「牡丹亭」を読むのがきっかけで中国の明代戯劇に興味を持った。20年にわたる粘り強い研究で、過労が蓄積し、病にもがきながらこの書籍を書き上げ、京都大学の博士号を取得した。羅氏はこの書籍を中国国民に紹介することを決意、すでに解決した問題のために無駄な研究をする必要はないと考えた。
羅氏は原作を半年かけて翻訳しようと計画したが、作業に取り掛かると問題が発生した。1文字のために何日も推敲し、一文のために至る所の書物を調べても見つけられず、書物中の不明な著者を明らかにするため、世界中の有名大学の図書館に手紙で質問を送りようやく解決した。この繰り返しで精根尽き果てた彼は何度も諦めようとしたが、このために苦労を耐え忍び十数年奮闘した原作者である日本人を思うと、もし自分が成功を目前に挫折したら罪悪感を感じた。こうして自分を鼓舞しながら訳し続けること2年、彼の書籍はついに出版にこぎつけた。(編集JK)
「人民網日本語版」2016年5月23日