▽米国抜きTPPに見所はあるか?
安倍政権は「米国抜きTPP」に引き続き幻想を抱いている。米国を欠いたTPPに見所はあるのだろうか。
TPPが当初、アジア太平洋の多くのエコノミーに重視されたことのカギは、米国が推進役になるだけでなく、一大市場になり、一大資金輸出国になることにあった。参加各国が米国の主導する自由貿易ルールを受け入れようと考えたのは、米国がTPP参加国に非参加国よりもメリットの多い米国市場への参入資格を与えようとしていたからだ。
中国社会科学院日本研究所外交研究室の呂耀東室長は、「米国の離脱後、TPPの見通しが大いに割り引かれたことは間違いない。ベトナムなどの参加国が参加時により多く考えていたのは、米国という大船に乗ることだったからだ」と話す。
共同通信社はこのほど、ベトナムとマレーシアは米国市場進出を目標としていたため、米国の参加を非常に重視していると伝えた。ロイター社の報道では、メキシコのグアハルド経済相はこのほど、「日本がリーダーシップを発揮すれば、……メキシコなど他の参加国は米国抜きでTPPを発効させることのメリットとデメリットを評価することが可能だ」と述べた。だが現在、メキシコとカナダの両国は米国との北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉をより重視しており、引き続きTPPを推進しても両国の積極的な反応は得られないとみられる。
またTPPをめぐって米国以外の11ヶ国はこれからすりあわせや交渉のプロセスをたどる可能性がある。中でもベトナムをはじめとする数ヶ国はASEAN主導の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の参加国でもあり、左右をよく見比べて、どちらからも利益を得ようと考えて動くことが予想される。
日本は世界3位のエコノミーだが、人口は1億人ほどにすぎず、世界に巨大な製品消費市場を提供することはできない。TPPの「推進役」が国内市場の小さい、他の参加国と輸出の「パイ」を争う日本に変われば、TPPは他国には受け入れにくいものになり、十分な吸引力をもたなくなることは容易に想像できる。(編集KS)
「人民網日本語版」2017年4月28日
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