米国の環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰の望みは失われたが、日本はまだあきらめず、自ら「推進役」をかって出て、米国抜きの11ヶ国によるTPPを導こうとしている。新華網が伝えた。
日本の麻生太郎副総理兼財務相はこのほど米国ニューヨークで講演した際、米国が離脱したTPPについて、米国を除く11ヶ国での発効に向けて「5月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)で話が出る」と述べた。安倍晋三首相はさきに「(TPPは)米国抜きでは意味がない」と発言していた。
日本政府のTPPに関する立場はなぜ180度転換したのか。この転換によってTPPは救われるのだろうか。
▽日本はなぜTPPの「推進役」になろうとするのか
日本政府は米国にTPP復帰を要請し続けることをやめ、自ら「推進役」をかって出て、米国抜きのTPPを導こうとしている。その背後には深いレベルの原因が横たわる。
第1に、日本はアジア太平洋地域の経済一体化の主導権を握ろうとしている。東アジア全体を主導することは日本の長年の夢で、今回の「バトン引き継ぎ」はこの願望を実現する絶好の機会だ。日本はTPPで主導権を握ることで、貿易ルールの制定においてより大きな影響力と発言権を獲得しようと考えている。
第2に、TPPは日本経済と安倍晋三首相の政治生命にとって極めて重要なものだ。貿易への依存度の高い典型的な外向型エコノミーである日本は、より高水準、広範囲の自由貿易協定(FTA)を必要としており、TPPは日本経済の力強い成長に向けた基礎をうち立てるものとなる。より重要なことは、TPPは「アベノミクス」の土台であり、「アベノミクス」の効果がどうなるかが、安倍首相の政治キャリアに直接影響するということだ。
第3に、日本は今なおTPPによって米国を制約したいと考えている。トランプ大統領が就任し、為替レートや農産品などの問題をめぐる日米のずれがますます大きくなっている。米国は多国間の枠組であるTPPを放棄し、日本と二国間FTAを進めたいとし、これは実際には日本に農産品や自動車などでより大きな譲歩を迫ることにほかならない。米国の攻勢に直面して、日本が米国抜きのTPPを発効させられれば、逆に米国に制約を加えることになり、米国の企業と労働者は非常に大きな影響を受けることになる。
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