大学受験も社会も変化　「受験経済」がより理性的に

大学受験のシーズンが今年もまたやって来た。中国で現在、最も重要な人材選抜制度といえる大学受験は、大勢の受験生とその家族に関わる重大事であるだけでなく、一世代の人々が将来どこで暮らし、どんな仕事に就くかをある程度決定づけるものでもである。過去40年間の発展の歴史を経て、大学受験そのものとそこから派生した「受験経済」は、日に日に合理的になり、科学的になり、規範化が進んでいる。「経済日報」が伝えた。

▽受験前消費が理性的に

インターネットでホテルを予約し、受験勉強サプリメントを購入し、受験会場への送迎の車を予約する。大学受験が近づくと、こうした「受験経済」が繁忙期に突入する。受験は受験生一人一人にとって何よりも大事なことであり、単に知識を問われるだけでなく、心の強さも試されることになる。また受験は受験生だけが試練に立ち向かうのではなく、家族が総出で一緒に戦う戦場だ。

試験日の6月7・8日が近づくにつれ、ホテルでは「受験生向けルーム」の予約が急速に伸びている。子どもが試験期間に十分な休息をとれるように、車の渋滞などで開始時間に遅れないように、あらかじめ「受験生向けルーム」を手配して宿泊や昼間の休憩に利用する親が増えている。旅行予約サイト・同程旅遊がこのほど発表した報告書「2017年『受験生向けルーム』予約状況」によると、ここ1週間の間に主要各都市の「受験生向けルーム」の予約件数が前週の倍近くにふくらんだ。ビジネスホテルや3星以下のロークラスホテルが需要の約8割を占めるという。また一部の受験生の家族は「昼休みをどこで過ごすか問題」を解決するために部屋を予約するので、試験会場周辺のホテルでは受験期間の時間貸しニーズが非常に活発になっている。取材したところ、平常に比べ、多くのホテルが受験期間には価格を引き上げるが、それでも早めに「受験生向けルーム」を予約しようとする親たちの熱意をさますことはできない。親たちは受験生である我が子をバックアップして、万が一のミスをなんとしても防ぎたい一心だ。

頭の働きをよくすると言われる保健用品の広告があふれかえっていたかつての状況は、今でも多くの人々の記憶に新しい。ここ数年は、国家食品薬品監督管理総局をはじめとする国の関連部門が厳しく摘発と監督管理を行っているため、保健用品市場は徐々に正常化に向かっている。北京のドラッグストア・金象大薬房を取材したところ、店内には「受験生向けの棚」は見あたらなかった。店員の話によると、「今は記憶力や試験への対応力を高める保健用品というのは少なくなった。実際には宣伝ほど効果がなく、多くの商品が棚から下ろされた。今の受験生はビタミン剤や抵抗力を高めるスピルリナを買っており、『奇跡のような効果』をむやみに追求することはなくなり、これまで棚いっぱいに並んでいた受験生向け栄養食品はうちの店ではあまり見かけなくなった」という。