日本ではシリコンバレー風のチャレンジ精神は主流ではない。人材サービス会社のランスタッドがこのほど行った労働者の意識に関する最新の調査では、日本人の起業への意欲は33ヶ国・地域の中で最低で、70%近くが「起業の意志はない」と答えたという。「新民晩報」が伝えた。
実際のところ、日本はかつて成功した企業家を数多く輩出し、パナソニックの創始者の松下幸之助氏やホンダを創業した本田宗一郎氏といった「経営の神様」がいた。日本で100年以上続く企業は2万5千社に上り、起業の経験は決して乏しくはない。では今の日本人は見本となるようなグローバルビジネスの案件を生み出すことができないのはなぜか。先人たちに比べ、今の日本人が起業をあまり好まないのはなぜか。
時代が英雄を作り出す。起業の分野も例外ではない。古い世代の企業家たちはかつての日本経済の飛躍的発展や当時の起業へのあふれる情熱をその目でみてきたが、その後、日本経済が停滞し足踏みをするようになると安定した生活を求める「安定志向世代」が登場した。
経済が力を失った時代には、最も起業に熱意を抱くとみられる若年層が安定志向になる。英国の人材コンサルタント会社ヘイズplcの調査では、日本の若年層の多くが茨の道を行く厳しい起業の人生を選ぼうとしなかった。13ヶ国の若年層を対象にした調査では、「起業に興味がない」と答えた日本人の若者の割合は58%と高く、調査対象国の中で最高だった。楽天の三木谷浩史社長は、「20年に及ぶ経済停滞期を経て、日本の若い人は非常に、極めて非常に保守的になった。これはよいことではない」と話す。
こうした傾向とあいまって、チャレンジ精神の乏しさが起業の歩みを停滞させている。日本政策金融公庫総合研究所の調査では、回答者が起業をあきらめた主な理由には、資金、人材、技術・知識といった起業に必要な要素のほか、「起業のリスクに不安を感じるから」が多く挙がった。
不安の根源を追求すると、日本の伝統的文化にみられる失敗への不寛容さが最大の障害だと考えられる。日本のベンチャー投資・育成会社WiLの伊佐山元代表は、「失敗への不寛容さが日米の起業環境における最大の違いだ。農耕社会を源流とした安定追求の傾向が日本のリスクに対する独特の見方を形成した。日本の投資家はリスクを回避するため『起業家に株式の買い戻しを要求する』条項を加え、金融機関は資金を貸し出す際に起業家に重要な個人資産を担保に入れるよう再三要求する。米国であれば、リスクは『想定内の動き』ととらえられ、たとえ失敗しても『クレバーな失敗』であれば、やり直しの可能性は大いにある」と話す。
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