同時に、日本観光市場にも徐々に変化が生じるとみられる。観光ニーズがますます多様化し、個性化して、トレーニング、休養、探検、景観を楽しむ、各地の風土を楽しむ、伝統工芸の制作に挑戦する、現地の人々と交流するなどが、新たな観光のホットスポットになりつつある。
だが行政が主導する日本の地方観光振興体制ではこうした新しい変化に対応することは難しい。国土交通省観光庁の原田修吾参事官は東京で取材に答えた際、「現行の行政が主導する観光振興体制の下では、地方に観光協会はあるものの、旅館や外食産業など少数の主体が参加するだけで、文化、スポーツ、農林漁業、現地の人々といった大勢の利害関係者は観光産業振興の主体になり得ていない。また観光情報の収集と分析も不十分で、地方の観光協会はコスト意識が薄く、考え方が古く、やり方も旧態依然としていて、こうしたことが観光サービス能力の深刻な不足という事態をもたらしている」と述べた。
こうした発展のボトルネックに対し、日本政府は「日本版DMO」(日本版の国内外観光地域づくり体制)を推進することで、観光産業に横たわる問題を取り除き、観光産業と観光経済が新たなステップを踏み出すよう後押ししようとしている。DMOとはデスティネーション・マネージメント・オーガニゼーションの略で、欧米の観光産業で流行する運営モデルだ。日本版DMOモデルの核心的理念は「観光地の経営」にあり、政府、文化、スポーツ、農林漁業、工商業、観光事業、現地の人々など利害関係のあるさまざまなクラスターの関係を調整し、全局的な視野で地域間や地域内の協力を主導することを任務とする。
新幹線飯山駅が設置される4年前、飯山市議の提案で同市と周辺8市町村の行政のトップが話し合い、広域観光エリアを共同で設定した。その後、9市町村の63団体が集まって広域観光協力推進組織を発足させ、これを「信越自然郷」と名付けた。信越自然郷はまさしく日本版DMOだ。DMOの組織には法人格があり、地域の観光をめぐる計画、経営、管理を担当する。今年3月末現在、全国で設立されたか設立準備中のDMO組織は134を数える。
足立市長の青写真では、飯山市は新幹線駅を足場に、信越エリアの観光集散センターを構築する計画だ。飯山駅を訪れると、一般的な駅が備えるべきものはすべて備わっているほか、観光サービスセンターがかなりの面積を占め、9市町村の観光資源や観光ルートの紹介やおすすめを行っていた。
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